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感想@映画「しあわせのパン」*ネタバレあり [映画・舞台]

映画“しあわせのパン”をテレビで観ましたので
感想を記します。

しあわせのパン [Blu-ray]

しあわせのパン [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: アミューズソフトエンタテインメント
  • メディア: Blu-ray

主なキャストさんはこちら(敬称略)。
水縞りえ:原田知世
水縞尚:大泉洋
山下時生:平岡祐太
齋藤香織:森カンナ
未久:八木優希
未久のパパ:光石研
阪本アヤ:渡辺美佐子
阪本史生:中村嘉葎雄
郵便屋さん:本多力
モノローグの少女:大橋のぞみ(声の出演)
陽子:余貴美子

以下の記述にはネタバレがあります。


————

私は“ご飯系”と呼ばれるジャンルの映画が好きです。
ただ、この系統の作品は、
内容がどれも似ているのが魅力であり難点でもあります。
特にレストランが作品の舞台となる場合は、
お店を切り盛りする主人公が常に受け身である為、
そこを訪れるお客さんのエピソードでお話が進むことが多いです。
この“しあわせのパン”も例に漏れず、そうでした。

あらすじはこちら。
東京から北海道の月浦に移り住み、パンカフェ「マーニ」をはじめた水縞尚とりえの夫婦。
旬の食材を使用したパンを尚が焼き、りえがそれに合うコーヒーをいれ、料理をつくる。そんな二人の姿と食にひかれ、毎日さまざまな客がやって来る。 問題や悩みを抱えた人もいつしか心に小さなしあわせをみつけて帰ってゆく…。
春夏秋冬の美しい自然が織り込まれた、全編にわたる北海道ロケ映像も見どころ。


水縞りえ(原田知世さん)が子供の頃から馴れ親しみ、
大事に読んできた童話の絵本。
その世界観を作品にも持ち込んでおり、
時々、そういった画面処理をした映像も出てきます。

また、こういうレストランものでありがちな
「どうやって生計を立ててるの?」と不思議に思ってしまうほど
現実離れをした経営状態や、
切手を貼らず、住所も書かずに届けてもらう手紙……など、
幾つものの点で、空想的で優しい描かれ方がなされていました。

確かに、そういう描写は
ファンタジーとして適切なのかもしれません。
映画は夢のようなもので、
非現実的なことでも普通に行なわれる世界でもあるので、
おとぎ話を主題としているこの作品ならば、
無粋なことを省くのも魅力だと思います。
しかし私は、そういった描写が出てくる度に
「え? 郵便局員に渡すのに、封筒に住所を書かないの?」
「え? 切手も貼らないの?」とのツッコミを
冷静に入れずにはいられなくなり、
その度に現実に引き戻されていました。
つまり、非現実的な細かい描写に全く酔えなかったんです。



たとえば、最初の話で、
齋藤香織(森カンナさん)が
山下時生(平岡祐太さん)のバイクに乗る際、
彼女がキャリーバッグを片手でゴロゴロと引いている状態で
彼はバイクを発進させます。
その直後の映像では、
キャリーバッグはちゃんと荷台に詰まれているんですが
観ていた私は呆れ、笑い、
「おいおいおいおい」との声を出しました。

最後、しあわせのパンを水縞夫婦から預かった郵便局員が、
プレゼントボックスを山のように詰んで戻る映像にしても、
いかにも漫画でアニメ的な表現方法でした。
この映画の監督さんはこういう手法がお好きなんでしょうが、
地に足がついていないので、
どうも変な感じでふわふわ浮いている
——雰囲気だけを楽しむ映画になっているなぁと思いました。



水縞夫妻についても、違和感を強く感じました。
「水縞くん」「りえさん」と呼び合い、
夫婦というよりパートナーで、
運命共同体的な友達っぽい夫婦というのは、
映画や漫画、小説といった創作の中ではそう珍しくないです。
お互いに相手の個性を尊重し、
人として認めている
(夫婦という関係に甘えない/絶対に対等)という
間柄を強調する時に
よく用いられる関係性だと思います。

心に傷を負ったりえに話を持ちかけた水縞尚(大泉洋さん)が
彼女と共にこのカフェを開いたという設定ですので、
りえが時折見せる淋しそうな顔や、
彼女の「辛い時に笑わなければいけないこともある」という発言に対し、
尚が敏感に(でも密かに)反応するシーンがあります。
これらに加えて、全体的に、
この二人からは夫婦である匂いが全くしません。
また、夫婦である必要も無いと思えました。
いっそのこと、
同居人でパートナーだけれど結婚はしていない状態で、
最後にりえが「私のマーニはあなた(尚)だったんだ」と気付き、
晴れて結婚をして子供ができて……という流れにすれば、
最後もちゃんと盛り上がったのではないかなと思いました。



それと、作品の最後で
マーニが尚であるということをりえがようやく気付いた展開が
とても不自然に思えました。
「今更それ? 今、気付いたの?」と失笑しました。
尚は、いつも他人に対して優しそうじゃないですか。
それまでのりえが、尚をよく見ていなかった
(彼の優しさに気付いていなかった)のなら、
作中のエピソードを経て、
最後の最後で「私が愛すべき人はあなた」となるのは当然ですが、
それまでも、二人の関係は別に悪くなく、
お互いに相手を認めているのが分かるので、
りえがそこでそう言うことが変に感じられました。

話を最後に盛り上げる為に、
「ずっと探していたマーニが目の前の人だった!」ということを
りえにわざわざ気付かせ、言わせたのだとは、私にも分かります。
しかし、これまで作品を観ていた側としては、
それは決して意外でなく、
作品を見始めてから十分も経たずに分かることでしたので、
安っぽいまとめ方になってしまっていたと思います。



唯一、「あ、いいな」と思ったのは、
最後のカット(スタッフロール終了後)にも使われていた
“何か良いことがあったら小銭をためる”ことです。
これは良いネタだったと思います。



りえ役の原田知世さんが、
インスタントコーヒーのCMに長く出られているからか、
作中で振る舞われたコーヒーは美味しそうでした。
原田さんご自身も、変な髪型や服装が現実離れしていて、
作品の世界に合っていたと思います。
でも、尚については、
別に大泉洋さんでなくても良かったのではないでしょうか。
……と思ったら、この作品は
副社こと鈴井亜由美さん(ミスターの奥さん)が
企画を担当されているんですね。
OFFICE CUEの作品なら、大泉さんが出るのも当然です。
個人的に、大泉さんは、素でも演技でも、
「怒ってこそ華」「愚痴ってこそ華」だと思っていますので、
そういったことが全く無い善人役は
平凡すぎて勿体無い(個性が殺されている)と思います。



決して悪い出来ではないと思うのですが、
普段から物語に対してツッコミを入れがちな人には、
私のように合わないと思います。
それと、題名の通り、パンがメインですので、
料理の映像は全般的に地味です。
観ていて、ほとんど食欲をそそられなかった
(美味しそうだと共感できなかった)のが
残念でした。



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2013-11-06 01:40  nice!(1) 
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