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感想@映画「すーちゃん まいちゃん さわ子さん」*ネタバレあり [映画・舞台]

映画「すーちゃん まいちゃん さわ子さん」をDVDで観ましたので
感想を記します。

すーちゃん まいちゃん さわ子さん [Blu-ray]

すーちゃん まいちゃん さわ子さん [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
  • メディア: Blu-ray

主なキャストさんはこちら(敬称略)
森本好子(すーちゃん):柴咲コウ
岡村まい子(まいちゃん):真木よう子
林さわ子(さわ子さん):寺島しのぶ
木庭葉子:木野花
林信子:銀粉蝶
林静江:風見章子
岩井美香:佐藤めぐみ
竹田ちか:上間美緒
木庭みなみ:吉倉あおい
前田千草:高部あい
千葉恒輔:染谷将太
中田誠一郎:井浦新

以下の記述にはネタバレを含みます。


————

今年の春に公開されたこちらの映画。
評判が良かったので、気にしていたものの、
都合が合わず、DVD化を楽しみにしていました。

実際に観た感想は……
決してつまらなくはないんですが、
観た後で「あぁ面白かった!」という爽快感は得られなかったです。
大きな事件が特に起こるわけでもなく、
三人の女性の日常が淡々と描かれているだけで、
皆が「辛いこともあるけれど、しっかりと生きていく」と
改めて決意して終わるというストーリーですので、
元々そういう内容ではないというのもあるのですが、
私自身が彼女らの世代なので、
友達と会って喋った後みたいな気分になったんです。
現実で散々、実感しているものを
わざわざお金を払って映画で体感しなくてもいいじゃないかと
思ったわけです。
そう思えるほどリアリティがあると言えば褒め言葉になりますが、
せっかく映画という媒体になったんですから、
もうちょっと何か欲しかったなという
物足りなさを感じました。



映画の前半は、
まさに日常における不満というか愚痴というか、
すーちゃん達女性三人が一生懸命に生きながらも
他人の些細な言動で傷付いたり、不満を持ったりしていて、
観ている側が「あぁ、こういう事ってあるある」と
共感しやすい小ネタが連続で出されています。
特に、すーちゃんとまいちゃんの話は、
“もう若くない年齢”と“女性”という点で
世間からちくちくと苛められるネタばかりですので、
共感できる女性は多いと思います。
ただ、最初からずっとそれ系の小ネタばかりなので、
私はちょっと飽きてしまいました。

また、映画のタイトルが
主要人物三人の名前であるにもかかわらず、
随分とすーちゃんにカメラを振っているなぁと思ったら、
こちら、原作はまさに「すーちゃん」というタイトルなんですね。
すーちゃん (幻冬舎文庫 ま 10-2)

すーちゃん (幻冬舎文庫 ま 10-2)

  • 作者: 益田 ミリ
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2009/08
  • メディア: 文庫

多分「すーちゃん」のまま映画化されていたら
私は興味を持たなかったはずですので、
この改変は正解だったと思いますが、
それにしては、さわ子さんの描写が少なすぎる気がします。



個人的に「お!」と思ったこと。
具体的に誰とは書きませんが、
肌が汚いことで有名な女優さんに、肌が汚い女性の役をやらせるのは、
知っていたら物凄い嫌味ですし、
知らなかったら、勇気があるキャスティングだなと思いました。

それと、すーちゃんの職場であるレストランの休憩室で
中田誠一郎と結婚する岩井美香が発した最後の一言が
非常に興味深かったです。
岩井さんは、レストランを寿退社で辞める日、
中田と一緒の時は「じゃ、結婚式で!」とすーちゃんに言って
爽やかに出ていったものの、
彼女だけが戻ってきて、
実は中田がすーちゃんを気にしていた時期があったと伝えます。
で、最後に彼女が
「結婚式、無理しなくていいですよ」と言ってくるんです。
すーちゃんは、以前に中田をいいなと思った事があったものの、
彼との会話で上手くふっきれていたのに、
岩井さんのこの一言でビミョーな気持ちにさせられているのが、
すーちゃんには可哀相だけれど、面白かったです。
岩井さんの一言は、まさに勝者のそれですよね。
彼女は、中田とすーちゃんの仲が良かったのを
以前から面白くないと思っていたんでしょうが、
ここでは、「でも、彼は私と結婚するんだし!!」という
優越感がたっぷり出ていて、
浅ましい感じすら漂わせていたのが良かったです。

さわ子さんがドン引きしていた出産可能証明書
(子供を産める体であるという証明書)の件は、
私もショックが大きすぎて、声が出ませんでした。
さわ子さんが相手にもそれを求めた件は、
グッジョブとしか言い様がありません。
二人とも年齢が高いだけに、
「孫が欲しい」という親の気持ちを叶えたいという望みは、
さわ子さんだって理解できたと思います。
でも、子供を産めなきゃ嫁として認められないという考え方は、
とんでもないことです。
私だったら、さわ子さんと同様に相手にもそれを求めた後、
「今、『え? なんで俺がそんなものを用意しなきゃならないの』って
思ったでしょ。
それが私の今の気持ちだよ!!!」と言うと思います。
まぁ、たとえ、さわ子さんが折れて証明書を用意したとしても、
そういう家庭に入り、もし子宝に恵まれなかったら
とても辛い思いをさせられたはずですので、
結婚前でそれが分かって良かったね……とも思いました。

店長になったさわ子さんが、
リストラされたサラリーマンの面接を行なうところは、
話が狙い過ぎているというか、
観ている私も不快な気持ちになりましたので、嫌いです。



作品の出来は悪くないので、
他人に共感することですっきりとしたい大人女子にはお勧めします。
でも、こういう映画を観て「あぁ、あるある」と共感するより、
ちょっとおめかしして、美味しいものでも食べに行った方が
気持ちはすっきりするのではないかなとも思いました。
テレビで他のことをしながらぼんやり観るなら
大人女子以外の方でも大丈夫だと思います。
(その作業を邪魔しない程度のゆるさがありますので)



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2013-09-05 19:55  nice!(1) 
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