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感想@映画「キッチン・ストーリー」*ネタバレあり [映画・舞台]

映画「キッチン・ストーリー」をDVDで観ましたので
感想を記します。
以下の記述にはネタバレを含みます。

キッチン・ストーリー [DVD]

キッチン・ストーリー [DVD]

  • 出版社/メーカー: エスピーオー
  • メディア: DVD


————

こちらの作品は、図書館でDVDを借りて観ました。
この図書館、ヒューマン系作品を少し取り扱っているので、
そういう系を好む私は
たまに出かけてはこうして借りているのですが、
結構、当たりはずれが激しいです。
(多分、スタッフさんが観てから購入しているのでなく、
タイトルやあらすじから「万人受けしそう」と思える作品を
選んでいるっぽい)

実は、少し前に借りてきた作品も、私にとってはハズレでした。
なので「今回はどうだろう」と博打のような気分にもなりましたが
(無料で借りられるので、本来、賭けでも何でも無いのですが、
自分に合わない作品を観た時は、
時間をとても無駄にした気分になるので……)
今回は当たりに入っていたと思います。

何故、もっと簡潔に「面白かったです!」とか
「当たりでした!」とか書かないかというと、
序盤は「もう見るのを止めようかな」と思ったほど
退屈だったからです。



物語の舞台は、1950年代初頭のノルウェーの鄙びた田舎。
主人公は、イザックという名の孤独な老人です。
このイザックの元に、
スウェーデンの会社から調査員・フォルケが派遣されます。
フォルケの目的は“独身男性の台所での行動を調べること”。
そうして、フォルケに観察される生活を始めたイザック。
しかし会社の命令で、二人の間には
「言葉を交わしてはいけない」
「いかなる交流も持ってはいけない」というルールがあり、
非常に奇妙でぎこちない日々が続きます。
しかし、一杯のコーヒーをきっかけに
二人の距離はぐっと縮まり、友情が生まれていく
——というのが、あらすじです。



こうやって見てみると、「面白そう」って思いませんか??
私はパッケージの説明を見てこう思い、借りたのですが、
映像も地味、お話も地味、登場人物の数も少ないとあって、
途中までは眠くなるほど退屈でした。

面白くなった(興味を持てるようになった)のは、
やはり、イザックとフォルケがルールを破って
仲良くなってからです。
普段からイザック宅を訪れる人が極端に少ないこともあり、
彼がシャワー管を使う人間ラジオを自慢げに披露するところなんか
かわいくてかわいくてたまりませんでした。
また、フォルケのトレーラーの中でのお誕生会が最高です!
ケーキに刺した大量の小さなロウソクの火を二人掛かりで消し、
そのケーキを美味しいと言って食べ、
バーボンで乾杯するだけという、
地味でささやかなパーティーなのですが、
二人が実に楽しそうで幸せそうなんです。



だからこそ、クリスマスも二人で祝えたかもしれないのに、
最後、イザックが亡くなってしまったのが残念です。
しかも、フォルケがとある事情でイザック宅を離れた後、
戻ってくるまでの間に
ひっそりと亡くなってしまったという展開がもう……。
悲愴感が煽られることはなく、淡々と描かれているので、
フォルケが感じたであろう淋しさやせつなさが
強く伝わってきます。

それでも、イザックの家に住むことにしたらしいフォルケが、
イザックの友人だったグラントと仲良くなったこともあり、
お話が暗いまま終わらないのも良かったです。
かつてグラントがイザック宅を訪れる時にはそうしていたように、
フォルケに対しても、
電話のベルを決まった回数で鳴らして知らせるのは
特に良かったなぁ。
イザックという人はもういなくなってしまったけれど、
彼の存在があったからこそ、
フォルケとグラントは知り合ったわけで、
フォルケがあの家に住み続けたり、
二人の友情がずっと続いていったりする以上、
イザックはまだあそこにいるんだと感じられました。
救いがある(明るさを感じられる)ラストで良かったです。



上記の通り、序盤の退屈ささえ耐えられれば
途中からは楽しく見られると思います。
中盤を中心として、
ほとんどがイザック宅のキッチンでの描写ですが、
よく見ると小物が可愛かったり、素敵だったりすることもあり、
飽きることはありませんでした。
また、最後まで見た後に再び序盤を見直してみると、
結構普通に見ることができますので、
時間がある場合は、これもお勧めです。



2013-07-08 13:40  nice!(0) 
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