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感想@映画「探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点」*ネタバレあり [映画・舞台]

映画「探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点」を観てきましたので
感想を記します。

『探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点』 公式調査報告書 探偵はYOUである2 (エンターブレインムック)

『探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点』 公式調査報告書 探偵はYOUである2 (エンターブレインムック)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: エンターブレイン
  • 発売日: 2013/04/30
  • メディア: ムック

主なキャストさんはこちら(敬称略)
〈俺/姓名不明〉:大泉洋
高田:松田龍平
河島弓子:尾野真千子
マサコちゃん(常田鉄之輔):ゴリ
橡脇孝一郎:渡部篤郎
松尾:田口トモロヲ
フローラ:篠井英介
相田:松重豊

以下の記述にはネタバレを含みます。
私は、前作も劇場で観ていますが、
原作の小説については共に未読です。


————

上記の通り、私は前作も映画館で観て、
感想も書いたはずなのですが、
検索しても何故かその感想記事が出てこない……ので、
多分、途中まで書いて破棄したんだと思います。
前作については、先日、
地上派初登場としてテレビで放映されたのを見ましたので、
後で改めて感想を書きます。

さて、その続編である今作。
大変面白かったです!!
前作の悪いところが改善されていて、
良いところが更にパワーアップされていたと思います。
前作から続くお約束のネタもばっちりあって、
シリーズのファンにはたまらない出来ですし、
これで新規のファンも掴むことができそうです。
リピーターも多そう!



シリーズ作品の感想を綴るとなると、前作を観ている限り、
どうしてもそれと比較してしまいますので、
これから書くつもりである前作の感想と
内容が一部重複すると思いますが、
ご容赦下さい。

実は私、前作については、
劇場で観た時の感想はあまり良いものでなかったんです。
テレビ番組“水曜どうでしょう”などでお馴染みの、
へたれキャラ・文句キャラタレントという
大泉洋さんの個性を最大に生かした主人公の俺を始め、
主要キャラクターは皆、個性が立っていて、
面白かったのですが、
ぶっちゃけ、ミステリとしては話が弱く、
謎解きを重視していた(ミステリものを観るつもりでいた)私は
ちょっと肩透かしを食らったんです。
前作は、犯人が誰というより、
小雪さん演じるゲストの女性キャラが
果たして本当に怪しいのか否かに
話が集中してしまっていましたので……。

でも今回は違いました。
ミステリとしても純粋に面白いです。
勿論、観客は主人公の俺と共に事件を知り、追っていくので、
分からないことも多く、
「おそらく彼らの内の誰かだろう」とは絞れるものの、
終盤まで犯人が誰なのかは全く分かりません
(実行犯に繋がる手がかりが無いので、それ以上の推測ができない)。
そして、それは、
主人公の俺と共に観客が分かる作りになっていますので、
その瞬間は、爽快感すら感じるほど気持ち良いのですが、
同時に、それによって明らかになった事実に悲しくなり、
私は遣りきれない気持ちになりました。



話は、オカマのホステスのマサコちゃん(ゴリさん)が
テーブルマジックに目覚めたところから始まります。
マサコちゃんは、拙いマジックを勤務先で披露し続けた結果、
“オカマジック”という造語ができるほど上手くなり、
主人公の俺から
マジコンというテレビのコンテストへの出場を勧められます。
「テレビに出て有名になると、迷惑をかけちゃう人がいる」と言って
一度は拒んだマサコちゃんですが、
結局、そのマジックコンテストに出場し、優勝します。
しかしその二日後、とあるゴミ捨て場にて、
マサコちゃんの遺体が発見されます。
この殺人事件はすぐに解決されると思いきや、
三ヶ月経っても警察の捜査は進展しなかったようで、
犯人は挙げられませんでした。
それまで、のっぴきならない事情(笑)のせいで
バーにすら顔を出していなかった主人公の俺は、
ススキノの街に戻るや否や、それを独自で捜査しようとします。
けれど、マサコちゃんの勤務先であるオカマバーを始め、
彼女と親しかったススキノの街の人々が
何故か口を開こうとしません。
そして、事件の裏にとある有名若手政治家(男)が関係していて、
昔、彼とマサコちゃんが恋人関係にあったらしいというスキャンダルが
浮かび上がってきます。
これが、序盤のあらすじです。



まず、ゴリさん演じるマサコちゃんが可愛いです。
カツラをかぶって派手なメイクをしていますが、
顔はゴリさんそのものなので、
ごつい系&ブサかわいい系のオカマさんなんですけれど、
とても誠実で優しい人だというのがよく伝わってきます。
マサコちゃんがいると周囲の空気が和む感じです。
私は、他の邦画を映画館で観た際に、
この映画の予告映像も観ていますので、
マサコちゃんが被害者であるのは予め分かっていたのですが、
「こんなに善良そうな人が死んじゃうのか」と
複雑な思いで観ていました。
そして、分かっていても、
マサコちゃんの死体が発見されたシーンではショックを受けました。

その後、主人公の俺は、
ゲストキャラである河島弓子(尾野真千子さん)に振り回されます。
彼女のせいで、三つの勢力から狙われるようになった主人公の俺は、
相棒の高田(松田龍平さん)と共に、散々な目に度々遭います。

主人公の俺がゲストの女性キャラクターに振り回される辺りは、
前作もそうでしたので、シリーズの特徴なんですね。
この辺も大変良かったです。
また、高田とのコンビ描写は前作以上で、
前作ではそこを不満に思った私でも、今回は満足できました。



この映画の要素であり魅力でもある点は、
ミステリ・バイオレンス・コメディ・エロの四つだと思います。

まずミステリは、上記でも少し触れましたが、
犯人は誰かという興味で最後まで関心が引っ張られるだけでなく、
弓子の真意が終盤まで分からないままですので、
謎解き映画として優れていると思います。
「で? 結局、真犯人は誰なのよ」と思った後に
それがぽろっと判明するくだりは、
本当に上手に作ってあって、
私は「あぁ、こいつかー」と思いながら、唸りそうになりました。
私も、主人公の俺と一緒に、
真犯人がなにげなく漏らした言葉に「ん?」と引っ掛かったので、
彼とシンクロできたのも気持ち良かったです。

バイオレンス(アクションシーン)は、
前作より数が増えたなと思えました
(ちゃんと比較してはおらず、あくまで私の印象です)。
映画の予告でもあったように、
主人公の俺が雪の無いスキージャンプに挑戦させられる他、
今回もやたらめったら敵に襲われます。
銃撃戦もどきもあり、中には懐かしい顔との戦いもあり、
暴力シーンを苦手とする私には厳しいと思えるものもありました。
今回の主人公は、前作以上に高田と行動を共にしているので、
彼もかなり活躍しています。

コメディは、ちょっとした小ネタで笑わせてくる他、
上記のアクションシーンですら笑いの要素を含んでいるのが
凄いです。
特に、路面電車内でのアクションシーンは、
その始まりから面白いです。
電車に乗って逃げることができて
主人公の俺や高田が油断していると、
次の停留所で、その襲撃犯たちがずらりと並んで待っているという
シュールな映像が、特に魅力的でした。
他、高田のぽんこつ車ネタや、
さりげなく出てくる名物のおかき(?)ネタなど、
観た後に語りたくなるネタはたっぷりとあります。
作中で披露される、主人公の俺の衣裳替えも笑いどころです。
あと、フローラ役の篠井英介さんはさすがで、
オカマバーのママ役が似合い過ぎです。
松重豊さん演じる相田は、首を鳴らし過ぎww

エロは……サービス満点です。
いきつけの喫茶店のウェイトレスさんが
相変わらず官能的に主人公の俺を誘ってくる他、
序盤、彼が街に出なくなった理由である恋人の裸が
ばばんと出てきます。
まさか、大泉さんの乳首攻めが映像で見られるとは
思いもしませんでした。
(騎乗位っぽく乗っている裸の女性の乳首を
主人公の俺が両手の指で押しているシーンがありますww)
ちょっとびっくりした……。
他にも、要所要所で、ちょっとしたエロがはさまるので、
面白いです。
笑える部分があったとはいえ、今回は話が重いので、
エロが良い息抜きにもなっていたと思います。



この作品の重要人物である
橡脇孝一郎(とちわきこういちろう/渡部篤郎さん)について。
普通、こういう展開になった場合、
本当の実行犯か命令を下しただけなのかはともかく、
橡脇自身が手を汚した上で、
政治家という立場の重要性、正当性を強く主張し、
「自分がここで失脚したら、日本の未来が悪くなる。
だから見のがしてくれ」と
主人公に懇願するパターンが非常に多いです。
しかし、この作品は異なり、
どうも橡脇はこの件に関わっていないらしいと分かります。
とはいえ、橡脇の取り巻きや支援者が
「こんなスキャンダルで橡脇を失脚させてはならない」
という思いから暴走し、
マサコちゃん殺しを勝手に行なったようだとは感じられますので、
主人公の俺と同様に、私も歯がゆい思いをしました。
当の橡脇が犯罪に手を染めたなら、
彼を糾弾することでとりあえず事件は解決します。
でも、本当に彼が何もしていないなら、
彼を責めても無意味です。
橡脇を説得し、彼から取り巻きや支援者に向けて
「犯人は自首してほしい」と頼んでもらうことも、
今回の場合は不可能ですし
(橡脇自身がまだ政治家を続けたい為、
もし身内に犯人がいるとしても、今は告発する気が無い)。

映画を観た方には不要の説明ですが、
橡脇がマサコちゃんの死に胸を痛めており、
身内の自浄作用が悪の方向で出た点を問題だと思っていたことは
確かです。
ただ、今、事件の真相が明るみになっては困るので、
彼は主人公の俺に向かって
「三年で方を付けるから、それまで待っていてくれ」と
心から頼んでいました。



終盤で突然起こる死亡事故については
全く予想していなかったので、本当にびっくりしました。
あの手の事故を生で見てしまったような気になりました。
むちゃくちゃ怖かったです……。

マサコちゃんの死の真相は、
犯人の動機がくだらない分、せつなかったです。
そんなことで人を殺すのかよ、
そんなことでマサコちゃんは死んじゃったのかよと
私も心の中で思いました。
また、主人公の俺が、その前に作中で、
人間の嫉妬深さについて語っていたのが前フリだったんだと
(人は目立ちたいだけなんだ云々)
ここでようやく分かりました。



そして、全てが分かったラスト。
弓子の思いを理解すると、
三人で行った室蘭でのことが凄く重くなりますね。
弓子が語る過去や、その映像を見ながら、
その時の彼女の言動を思い返していました。
そういえば、マサコちゃんの家を特定しようとして
三人で観覧車に乗った際に、
あまりにも手がかりがなくて途方に暮れていたら、
窓から外を眺めていた弓子が、突然、
「あっちの方に行こう」って誘導していたなーとも
思い出しました。
ここをもう一度見る為に、
映画館にまた足を運ぼうかと思ったくらいです。

弓子については、その言動がふてぶてしいだけでなく、
主人公の俺を危険な目に遭わせても平然としていますので、
正直、あまり良い印象を持てなかったのですが、
虚勢を張っているらしい彼女の辛さや弱さが
少しずつ垣間見えるようになってからは、
どんどん好きになりました。
可愛かったです。
最後、マサコちゃんの花をコサージュとして胸元に付けて
彼女がコンサートのステージに立つシーンは、
とても美しかったです。
化粧で二割増し、スポットライトを浴びて三割増し、
ヴァイオリンを持って五割増しなんて皮肉は
全く出ません(うろ覚えなので違っているかも)。

終盤の弓子の行動については、
「ほな、さよなら」の後、
橡脇が公園で演説をするとのニュースがありましたので、
「こりゃ、弓子は橡脇を刺しにいくよなー」との予想ができます。
なので、ここで主人公の俺がそれに気付かなかったのが
ちょっと不思議でした。



主人公の俺が退院した後、弓子とバーで語るところから、
私は涙が止まりませんでした。
もしかしたら、マサコちゃんと弓子が
このバーで仲良く呑めた未来もあったかもしれないと思うと、
余計せつなくて……。
主人公の俺も言っていましたが、
もし弓子がマサコちゃんを呼んだとしても、
橡脇が地盤を継ぐ際にあっさり身を引いたらしい彼女の過去や、
彼から花束を貰って祝われた際に、
彼女からすぐに「早く行って」と切り出したらしい事実からして、
それには応じなかったでしょうね。
でもでも、それでも、
お酒ぐらいは呑めたかもしれないじゃないですか。
そこに主人公の俺がいて、もしかしたら高田もいて、
弓子との関係を秘密にしながらも
マサコちゃんが幸せそうにしていたのを想像すると、
泣けて泣けて仕方がありませんでした。

上記のように、ホモネタがあるんですが
マサコちゃんと橡脇が恋人だったという過去が語られるだけで、
そういう描写は無く、
また、主人公の俺がそれを一切冷やかさないので、
真摯な愛として描かれていたと思います。



とにかく、前作を観て楽しめた方には必見の出来だと思います。
前作を観てないという方も楽しめると思いますが、
ちゃんとシリーズとして観た方が何倍も面白いです。
お勧め!!



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2013-05-15 23:36  nice!(0) 
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