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感想@映画「踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望」*ネタバレあり [映画・舞台]

映画「踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望」を観てきました。

踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望 シナリオ・ガイドブック

踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望 シナリオ・ガイドブック

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: キネマ旬報社
  • 発売日: 2012/09/22
  • メディア: ムック

以下の記述にはネタバレがあります。

主なキャストさんはこちら。
青島俊作:織田裕二さん
恩田すみれ:深津絵里さん
真下正義:ユースケ・サンタマリアさん
緒方薫:甲本雅裕さん
篠原夏美:内田有紀さん
和久伸次郎:伊藤淳史さん
鳥飼誠一:小栗旬さん
小池茂:小泉孝太郎さん
久瀬智則:香取慎吾さん
安住武史:大和田伸也さん
横山邦一:大杉漣さん
室井慎次:柳葉敏郎さん


────

正直、以前の劇場版の「踊る」は面白くなかったので
今回のFINALに対しては、
「どうせ面白くないんだろうな」という諦めの気持ちと、
「でもちゃんと見届けないと」という変な使命感(?)が
ごっちゃに混じった状態で
映画館に行きました。

いつもそうなのですが、
今回も余計な知識は入れずに臨みました。
直前の週末に放送されたスペシャルドラマは、一応見ました。

結論から先に書きますと、今回は大変面白かったです!
変な言葉ですが「面白かったこと」にびっくりしましたww
上記の通り、私が以前の「踊る」の出来を低く評価しているからこそ、
余計に今回を通常よりも高く評価できるのかもしれませんが
そんな比較は抜きにして、とにかく面白かったです。
観客を楽しませる=エンターテイメントな作品として
きちんと成立してました。

この映画は、これまでの「踊る」が好きだった人も勿論ですが、
私のように、以前は好きだった→でもあんまり好きじゃなくなった
もしくは、興味がなくなった……という人に、強くお勧めします。
とにかく、以前の映画とは出来が全く違います。
とても良いです。



まず、作品全体のテンポが非常に良いです。
他愛のないこと(くだらない事とも言うww)でせわしない湾岸署に
殺人事件を知らせる一報が入り、
青島俊作(織田裕二さん)たち捜査員は仕事に精を出しますが、
その途中で分かった不自然なことに対して不穏さを感じながらも
警察という組織の末端である彼らには
「自分たちにできること」を必死に頑張るしかなくて、
そうする内に次の事件が起こり──という、
「踊る」の基本とも言える構成です。
しかし今回は、シリアスと笑いの配分が絶妙です。
笑いの部分は、以前ほど尺が無いような気がしましたが、
作品のお約束的なものもてんこ盛りです
(ピンクサファイヤやボクサーの師弟など)。
なので、笑い(ネタ)の部分が
シリアスの部分を食わないようにちゃんと抑えられているのが
見ていて大変好ましく思えました。

また、「踊る」の定番とも言える、
主人公・青島と室井慎次(柳葉敏郎さん)の強い絆が伺えるやり取りや、
所轄の捜査員がいきいきと仕事をする
(所轄の意地を見せる)ところなどもしっかりとあるので
そういったシーンでは爽快な気分になれます。

それと、映画「3」で酷かった
作り手側の勝手な感傷めいた映像もなくて
(たとえば、終盤で青島が扉を打ち破ろうとする時のスローモーション)
観客に「感情の押しつけ」がなされなかったことも良かったです。


私は、冒頭のオープニングの映像でまずやられました。
これがすっごくかっこいいんです!
今回が「踊る」のFINALということで、
テレビドラマ版のタイトルが文字でずらずらと出てくる他、
登場人物のスチール写真を早回しで見せることによって、
個々の紹介と、
その過去から現在までの軌跡を人物別に示していました。
しかも、恩田すみれ(深津絵里さん)や室井さんは特別で
写真が青島とのツーショットでした。
これが、「踊る」のテーマソングと相まって
小気味よくパパパと映像で流れていくので、
本当に格好良い作りになっています。
オープニングを見終わった途端に、
「今すぐもう一回見たい」と思ってしまいました。



今回のテーマは「隠蔽(いんぺい)」
そして「警察を辞める」ことだと思います。
キーマンは鳥飼誠一(小栗旬さん)と横山邦一(大杉漣さん)。

まずは「隠蔽」。
小さな隠蔽、大きな隠蔽、笑える隠蔽、笑えない隠蔽、
悲しい(淋しい?))隠蔽、最低な隠蔽……と
とにかくたくさんの隠蔽が出てきます。

ドラマでも映画でも
「踊る」の作品を一度でもちゃんと見た事がある方なら、
ここでぴんとくると思います。
今回の映画の一番大きな「隠蔽」は
警察が警察である為に(警察という組織を守る為に)
警察が行なう「隠蔽」です。
これが……非常に汚く、見ていてやるせないです。
今回の話の主軸である殺人事件には、
六年前に起こった一人の少女の誘拐・殺害事件が深く絡んでいまして、
映画の終盤──ラスト近くで、
それまでちらちらと見せられていた当時の映像が
まとめて流されるんですが
見ていて悲しかったです……。
「そりゃ怒るよね」と、私も同情しました。
そして、警察という組織(の上の人間)に対して怒り、憤り、
上からの命令に逆らえなかったことに悔やんだり、恥じたり、
そんな自分にふがいなさを感じたりするのは青島だけじゃないのだと
改めて感じました。
事件は、その誘拐事件の捜査に関わった一部の人間の「正義」が暴走して
起こったことなんですよね……。


また、映画の最後で、青島は鳥飼に向かって
「正義は胸に秘めておく程度でいい」云々と言いますけれど、
今の警察に対してとっくに絶望していて
「それじゃ間に合わない」と言ってしまう鳥飼とは、
やはり根本的に考え方が違うんだなと思いました。
青島も熱血漢ですので、もし一歩間違えていたら
とっくに鳥飼たちのようになっていたかもしれませんが、
でもそうならずに済んでいるのは、
室井さんという存在のお陰なんでしょう。
青島が室井さんの正義を、
そして室井さんという人そのものを心から信じられるからこそ、
彼が自分の上に立っている警察に対して
まだ希望を持っていられるんだと思います。

警察に対して既に絶望している鳥飼は、
成果を急いで出したい、出さなくてはいけないと思っているので、
青島や室井さんには苛立ってしまうんでしょうね。
考えてみれば、鳥飼が目指した「警察の浄化」は、
青島や室井さんが追い求めているものと同じなんですよね。
でも、鳥飼が彼らを生ぬるい
(甘い、物足りない)と感じてしまうせいで、
そんなやり方しかできない彼らを無能と評価するだけで済まず、
遂には否定してしまったという。
青島や室井さんへの辞職勧告については、
腐りきって歪みきっている警察上層部を一新するついでに
煩いあいつらも消しておくか的なことだったように感じられました。
鳥飼があそこまで思い詰めていなかったら、
この先、青島や室井さんの力になってくれたかもしれませんので
今回ああいう形になったのは、ちょっと残念でした。

とはいえ、鳥飼の告発文によって、
隠蔽されていた事実が明らかになったり、
第三者を入れた委員会が作られたりしたようですので、
成果は出せていますが……。
でも、警察を腐敗させまいとするのなら
鳥飼があのまま残っていた方が良かったと思えてなりません。

捜査の指揮を室井さんが取るようになってから、
奥にずっと引っ込みっぱなしだった鳥飼は、
あの告発文をひたすら打ってたんですよね。
それを考えていたら
なんかもっといい方法があったんじゃないかと悲しくなりました。


ビールの隠蔽はおかしかったです。
自分の非を隠し、その責からも逃れる為には、
咎める対象をも引きずり込んで共犯者に仕立て、うやむやにする
──うまいやり方だなと思いました。



次は「警察を辞める」について。
自ら進んで辞める人、仕方なく辞めようとした人、
無理に辞めさせられそうになった人、とっくに辞めた人、
辞めていたことになっていた人……
今回の映画を既に見た方なら、
これだけで、どれが誰だか分かるかと思います。

個人的には、最後の最後で
すみれさんが元気よく机に戻ってくるところが見たかったです。
青島に頷いていたので、もう大丈夫だとは分かりましたが
それを確かなものとして映像で見たかったです。
すみれさんについては、根本的な問題が解決していないので
今後は本当に大変でしょうが、
良い上司、良い同僚、良い後輩……と彼女は人間関係に恵まれているので、
彼らの助けを得ながら刑事として頑張ってくれることを
祈っています。



青島とすみれさんの恋愛については
これといった進展は無かった
(キスといった分かりやすい行為は無い)のですが、
張り込み捜査中の「からあげ屋」さんのやり取りといい、
終盤での再会といい、
「無くても充分」「いや、むしろ無くていい」と思えました。
最後の最後で見られる青島とすみれさんのツーショット
(二人とも笑顔)が最高です。

でも、話の終盤で
ここぞという時にすみれさんがバスで突っ込んでくるのは
非現実的すぎてちょっと萎えました。
嘘くさいし、面白くもなかったです。



他、気になったところ。
・いっそ本当にから揚げ屋さんをやればいいww
・夏美さんの制服姿はめちゃくちゃかわいい。さすが美人
・すみれさんのミニスカポリスは私も見たかった……
・↑辞めちゃうと分かった段階で、本気でやらせてあげたくなった
・ビール五百箱!
・今回も眼鏡男子は健在。鳥飼に小池、もう最高ヽ(o・ω・o)ノ
・都合が悪いことは王さん任せww
・和久さんの想いは青島にちゃんと引き継がれていた!
・真下くんの戒名が悪い意味で素晴らし過ぎる
・スリーアミーゴスの老害っぷりがもうww
でもここぞという時に良いことを言うのはお約束
・カエル急便が健在
・大量に余った捜査本部のお弁当が本当に高価そう
・真下くんが「金を払ってもらう」と言った時の皆の絶句っぷりww
・久しぶりの雪乃さん! 真下の「妻」「ママ」呼びがww
・室井さんの真顔で「バナナ」
・何故「ボルシチ」?
・スタッフロールで最後に見られる写真がいい
(真下家・スリーアミーゴス・青島&すみれ)
・ずっと「青島さん」って呼んでいた真下くんが最後に「青島先輩」
・久瀬がSMAPの香取さんだとは最初分かりませんでした
・今回の最強(最凶)は横山


自分でも予想外だったのですが、本当に面白かったので、
暫くたったらもう一度見に行こうと想っています。
良い映画でした。
これがFINALなのを心から惜しむ他、
何故、以前の映画でこういうものを作ってくれなかったのかと
変に残念な気持ちになりました。



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2012-09-11 22:21  nice!(1) 
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