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感想@映画「クローズドノート」*ネタバレあり [映画・舞台]

映画「クローズドノート」の感想です。



原作の小説は途中まで読みました。
以降の記述にはネタバレがあります。


────

こちらの作品に対しては、映画館の予告CMで気になっていて、
図書館でたまたま原作の小説を見つけたので読み始めたものの、
あまり面白く思えなかったことから
半分ぐらいで読むのを止めてしまった……という過去が
私にはあります。

なので、この映画が原作そのままに作られているのなら
私には合わないなぁとの不安を感じながら
今回、テレビで視聴しました。

Wikipediaを見ると、原作と映画とではお話が違うようです。
しかし私は、小説についてほとんど忘れていますし、
この記事はあくまで映画の感想ですので、
後者について語っていきます。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%82%BA%E3%83%89%E3%83%BB%E3%83%8E%E3%83%BC%E3%83%88



……と書きつつも、
これは原作の小説に対しても感じたことなのですが、
お話が単調であること・無駄と思えるシーンに飽きを感じ、
都合が良過ぎる展開に、気持ちが冷めてしまいます。

まず、お話の単調さについて。
小さなエピソードが積み重なり、それぞれが繋がった結果、
一つの大きな物語になるというのは
どの媒体の作品でも共通のことです。
しかしこの作品は、その枝葉となるエピソードが
“なくても良いような話”ばかりに思え、
また、無駄が多いように思えました。

映画の冒頭。
主人公・堀井香恵(沢尻エリカさん)が
同性の親友・池内ハナ(サエコさん)と別れるシーンから始まりますが、
この親友の存在が、いてもいなくてもいい人なんです。
この作品は新しい場所で一人暮らしを始める主人公の話なので、
親友は過去でもあるのですが、
香恵自身が作中で過去をあまり振り返らない
(せいぜい彼女に甘えた電話をするぐらい)ので
ハナは別にいなくても支障がないという。
まぁ、強引な男に香恵が付きまとわれるというエピソードに
ハナは一応関わっていますので、
いない方がいいとまでは言いませんが、
印象深い冒頭のシーンに尺を何分も使う必要は無いだろうと
思えてなりませんでした。

また、香恵は万年筆の専門店で働き、
石飛リュウ(伊勢谷友介さん)と出会いますが、
この店というか、香恵が働いているシーンも
無駄に多いと思えました。
尤も、私は原作の小説に対しても
万年筆屋での描写がだらだらしているように感じてしまい、
これが読むのを止めた理由とも言えるので、
映画に問題があるとは指摘できないのですが……。

ここは、香恵とリュウの出会いに深い意味があって、
“真野伊吹(竹内結子さん)”という存在を介さなくても
二人はちゃんと出会うことができたという運命の象徴だろうと
私は推測しています。
(香恵が自室の部屋の窓からリュウと会った/
その前から彼を見かけていたことは、
伊吹という存在が無ければ、彼はそうしなかったはずですが、
二人が万年筆屋で出会ったのには、伊吹は関係が無い)
リュウが画材の一つとして万年筆を買い求めたという設定は
良かったですが
それ以外では余分な部分があるような気がします。

とはいえ、無駄は作品を深める大事な要素でもあるので、
(重要なシーンばかりだと疲れますし)
これらが全く無ければいいとは、私も思いません。
勿論、人によっては、無駄どころか大事な部分だとの認識を持つとも
理解しています。

マンドリンは、最後の最後、香恵がせつない音を奏でるシーンが
まるで舞台のようで(ちょっと大袈裟で)
すみませんが私は笑ってしまいました。
余韻はあまり感じられなかったです。

過去である伊吹の話も、
現実のこととして受け止めれば
素晴らしくて感動的な内容でしょうが、
映画のいちエピソードとして見ると、全般的に薄くて物足りないです。
尤も、現在である香恵の話も、
物足りなさでは同じなのですが……。



都合の良い展開について。
主人公が引っ越した部屋に
前の女性住人が残したらしいノートが“たまたま”あって、
好きな男性の思い人が“たまたま”その女性で、
彼女が亡くなる前に飛ばした紙飛行機を
その教え子が“たまたま”拾っていて、
その子と会えた主人公がそれを貰う……って、
どれだけ偶然に頼ってるんだ!と思ってしまいます。
私も夢見る乙女ですので、
奇跡のような偶然でお話が強引に進んでいく展開は好きですが、
これだけ列ねられるとさすがにお腹いっぱいです。
部屋に残されていたノートが、
自分の好きな人の思い人で、もう亡くなっている──という
この作品のキモの部分は
ネタとしてとても素晴らしいので、
それを強調する為にも、
伊吹が飛ばす紙飛行機の部分は
偶然に頼らないものにしてほしかったです。



主演の沢尻エリカさんは、この映画の試写か何かで
例の問題発言をしてしまいましたが、
それ以降の彼女とは同一人物とは思えないほど、かわいいです。

竹内結子さんも素敵です。
柔らかい彼女を見たい人にはぴったりの作品だと思います。
押し付けがましくない優しさと健気さをたっぷりと味わえます。
終業式の日のシーンでは、
こういう先生が小学校の担任だったら学校が楽しいだろうなと思え、
私も羨ましくなりました。
こんな女性が恋人で、しかも不慮の事故で亡くなったのなら、
そりゃ、ずっとずっと引き摺っちゃうわ……と
素直に共感できました。
また、香恵がいくらかわいくても、魅力的でも、
リュウはそう簡単には乗り換えられないだろうと
自然に納得できました。

ただ、上記の通り、
塩味が効いてない料理を食べた時のような物足りなさが
作品全体から感じられましたので、
彼女たちの魅力だけで終わりまで見るのは
私にはちょっと辛かったです。
最後も、これから始まる二人……という描き方なので、
見る人によっては時間を無駄にしたと思うかもしれません。

というか、見る人のほとんどが分かっている重大なネタバレ
(香恵が読んでいるノートは、リュウの亡き恋人・伊吹のもの)が
作中でようやく判明するのが
始まってから一時間半ぐらい経った後なので、遅いんです。
この部分をもっと前倒しして、余計なシーンをカットして、
そこで生まれた尺でもって
二人がくっつく寸前ぐらいまで描いても良かったのでは?と
思えました。



クローズド・ノート スペシャル・エディション(2枚組) [DVD]クローズド・ノート スタンダード・エディション [DVD]クローズド・ノート (角川文庫)クローズド・ノート【映画パンフレット】 『クローズド・ノート』 監督:行定勲.出演:沢尻エリカ.伊勢谷友介.竹内結子.板谷由夏.田中哲司映画プレスシート 沢尻エリカ「クローズド・ノート」チラシ付I LOVED YESTERDAY





2012-04-11 21:13  nice!(2) 
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