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感想@宝塚歌劇 花組公演「復活‐恋が終わり、愛が残った‐/カノン」*ネタバレあり [映画・舞台]

東京宝塚劇場にて、花組の公演
「復活‐恋が終わり、愛が残った‐/カノン」を観てきましたので
感想を書きます。

復活 (上巻) (新潮文庫)

復活 (上巻) (新潮文庫)

  • 作者: トルストイ
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2004/10
  • メディア: 文庫



下記の記述にはネタバレがあります。
原作であるトルストイの小説は読んでいません。



友達のご厚意で、久しぶりにS席で観劇しました。
普段は天井桟敷で観てばかりなので、とってもとっても嬉しかったです。


まずは、「復活」の感想から。

見終わった直後、清々しさに当てられました。
主人公のネフリュードフ(蘭寿とむさん)と
ヒロインのカチューシャ(蘭乃はなさん)は
最後に結ばれないので、決してハッピーエンドでなく、
一応、悲恋物と称して良いのでしょうが、
二人がこの別れに納得していて、
特にネフリュードフの前向きな気持ちが清々しいので、
ちょっと不思議な気持ちになりました。

そして、副題の「恋が終わり、愛が残った」が
まさにこの作品の内容を表しているんだなーと
しみじみと思いました。
私は、好きな人の為に身を引く話も嫌いではないのですが、
それほどできた人間ではないので、
好きな人を手に入れる為に頑張る話の方が好きです。


ただ……これ、トルストイの小説が原作ということで
“トンデモ”展開でも許されていると思いますが、
もしこちらが宝塚のオリジナルだったとしたら
「話の内容が酷い」と叩かれてもおかしくないのでは?と
想像してしまいました。
それぐらい、特にカチューシャの人生が哀れです。

あらすじを簡単に書きますと……
婚約者との結婚を控えた主人公ネフリュードフは、
とある殺人事件の裁判に陪審員として臨むことになります。
容疑者の一人として挙げられていたのは、
かつて彼の屋敷で働いていたメイドのカチューシャ。
ネフリュードフは、裁判用の記録を通して、
カチューシャが自分との子を宿し、
屋敷を追われた後に死産し、
生活の糧を得る為に売春婦になったことを知ります。

ネフリュードフには、
まだ学生だった若い頃の、休暇を利用した帰省の折に、
カチューシャにちょっかいを出したという過去がありました。
別れ際に、良かれと思って渡した少額の金によって
彼女の心を傷つけたことを知らないまま
今に至っていました。
(カチューシャはこれが本当の恋だと思っていたのに、
ネフリュードフから金を渡されたことで、
自分とのことはただの遊びだったと思い知らされた)

自分の罪を知ったネフリュードフは
シベリア流刑という
極刑に近い罰を受けそうになっているカチューシャを救うべく、
必死に尽力します。
再審には金が掛かるので、彼は自分の屋敷を処分し、
ロシア皇帝から貰った爵位を返上しようと思います。
当然、婚約者との結婚も破談になります。
これを知ったネフリュードフの身近な人間たちは
彼に呆れながらも、その本気に感銘し、力を貸します。
しかし当のカチューシャは
そういったことを知れば知るほど恐縮し、
自分のせいで愛する人が不幸になっている現実に苦しみます。

結局、カチューシャは裁判で有罪判決が下され、
シベリア流刑が決まります。
ネフリュードフは、彼女だけが辛い罰を受けるのをよしとせず、
受刑者とは別の手だてを使って追いかけます。
(シベリア行きは、道中で人が死ぬほど非常に辛いもの)

しかしその途中、ネフリュードフが蒔いた種が実を結び、
カチューシャが手違いで有罪になったことが判明します。
一度はカチューシャに結婚を断られたネフリュードフは、
これで彼女と結婚できると喜び、
彼女の元に勇んで向かいます。
けれどカチューシャは、
自分の無罪が決まったことを喜びながらも、
ネフリュードフと結婚するわけにはいかないとし、
彼の友人である政治犯のプロポーズを受け、結婚します。
(この政治犯もシベリア行きが決まっていて、同行していた)

カチューシャの元に着くなり、彼女の口から、
もう政治犯と結婚したとの報告を聞くネフリュードフ。
ショックを受けたネフリュードフが問いつめたところ、
カチューシャは、自分がもう充分に詫びてもらったこと、
愛を一人占めすることは許されないこと、
貰った愛は誰かに受け渡さなければいけないこと、
身を引くことが彼への愛の証であることを説明します。
それで納得したネフリュードフは、
シベリア行きの船には乗らない決意をします。
折しも、その日は大晦日。
新年を前に、また人を愛せるだろうかと問うネフリュードフは
前向きな気持ちになります。



はい、細かいところは端折りましたが
だいたいこんな感じです。
最初に“今”の裁判のシーンがあり、
過去のネフリュードフとカチューシャの恋が描かれた後、
再び“今”に戻ってくるので、
カチューシャについては
荒んだ娼婦→可憐なメイド→荒んだ娼婦
……という大きな変化があるのですが、
メイドから娼婦に転落した部分をばっさり省いているので
違和感ありまくりです。
文字通り、彼女が別人のようになったのだとは分かりましたが
逆に、これが同一人物だというのが不自然に感じられました。
また、演じている蘭乃はなさんが
娼婦であるカチューシャ役を務める為に頑張っているのは
よく伝わってきましたが
子供が無理をして悪ぶっている感じがありました。


そして、観ている最中は、
ネフリュードフの為に身を引いちゃうカチューシャに
「えええ」と思い、驚き、
「なんでそこで逃げる?」と不思議でなりませんでしたが、
帰宅した後でゆっくりと考え直してみると、
この二人は、一緒になっても辛いだけだなーと思えました。
お互いに好き合っているので
結婚をすれば、確かに幸せにはなれるのでしょうが
苦しみから完全に逃れることは一生できない気がします。
ネフリュードフはカチューシャを見る度に、
自分がかつて犯した罪と向かい合ってしまい
(カチューシャを結果的に弄び、人生を台無しにしたこと)、
カチューシャはカチューシャで、
彼にひどく迷惑を掛けたことを
思い出さずにはいられないでしょう。
つまり、カチューシャが言っていた通り、
彼ら二人が本当にその罪から解放されるには、
物理的に離れ、時間が癒してくれるのを待つしかないわけで。
別れは悲しいけれど
これが最良の選択だったのかなと納得できました。


話の中でも出てくる、ネフリュードフの行動
──それが愛なのか贖罪なのか──については、
私も当初、
「これって、自分の罪悪感を消したいだけじゃん」と
冷ややかに思っていたのですが、
彼が本当にシベリアに行こうとした展開になって
「……愛?」と思えました。
でも、これを愛だとすると、
好きな人の為にそこまでできるネフリュードフの誠実さが、
若い頃の彼のあやまち(カチューシャへのちょっかい)と
結びつかないんですよね……。
カチューシャが本気だったのは、
ネフリュードフからお金を渡された時のショックの受け方で
よく伝わってくるんですが。
ネフリュードフも、確かにカチューシャが好きだったでしょうし、
お金を渡したのも、メイドという彼女の立場を考えた、
お小遣い気分だったんでしょう
(彼女を金で買ったという思いは無かった)。
でも、その後、裁判が始まるまで
カチューシャの存在をすっかり忘れていて、
婚約者である貴族の娘と喜々として仲良くしているあたり、
当時はその場の勢いでカチューシャに手をつけたのは
否めないわけで。
まぁ、どんなに誠実で真面目な人でも
若い時にはあやまちの一つや二つがある
……ということも表したいのであれば、
これはうまく成功したのでは?と思えますが。


見ていて、すごくおもしろかった(興味深かった)のは……
主人公とヒロインであるネフリュードフとカチューシャが、
結ばれる際に、今回のメインの歌をうたうわけですが
(↑宝塚では定番)、
この歌、カチューシャの恩赦が決まり、
彼女の無実の罪が問われなくなった後、
ネフリュードフが再び結婚を申し込む為に彼女の元へ向かう際にも
また歌われるんです。
但し、舞台上では同時進行で、
カチューシャと政治犯の結婚式も行なわれていて、
この二人もネフリュードフと一緒に歌っているんです。

具体的に言うと、ネフリュードフは銀橋にいます。
カチューシャと政治犯は、舞台上で結婚式を挙げていて、
三人は同じ歌を一緒に歌っているけれど
銀橋と舞台の間には、実は距離がある……という仕様なんです。

なにも知らずに、幸福に胸を躍らせるネフリュードフ。
彼を愛しながらも、政治犯と敢えて結婚するカチューシャ。
二人の気持ちを知りつつ、
また、自分がネフリュードフの代わりであるのを覚悟しながら、
カチューシャを妻として迎える政治犯。
しかも、ネフリュードフと政治犯は
男性パートを一緒に歌っていて、
二人ともカチューシャへの恋を語っているのが
もうもう、ニクい演出でした!!



タカラジェンヌさんについては──
ネフリュードフを演じた蘭寿とむさんは、
難しい役所を頑張っていたと思います。
全般的に思い悩み、苦しむシーンばかりで
大変だったでしょうが、
ネフリュードフの切実な思いはひしひしと伝わってきました。

蘭乃はなさんは、歌がもうちょっと……だったのですが、
まとぶんさんと組んでいた頃と比べて、
娘役トップさんとしての華が出てきたなぁと感じられました。
前は完全に、まとぶんさんの胸を借りて舞台に出ていたのに、
今は娘役トップとして
らんとむさんをしっかりと支える側になっていると思いました。

暗い話なので
壮一帆さん演じるシェンポックの明るさが救いでした。
宝塚のオリジナルですと
彼みたいな人間が裏切るのが定番のように思えますが、
その役割を他に回す(セレーニン検事)ことで
最初から最後まで、ネフリュードフを見守り、助ける立場に
見ていてすごくホッとしました。
また、今回は、メインのカップルが別れてしまうので、
恋人のアニエスとはくっつかない予定が
最後にしっかりとくっついたという終わり方も好きです。

個人的には、伯母さんのイワノーヴァナ(京三紗さん)が
いい味を出していて好きでした。
そして、私のお気に入りは
ファナーリン弁護士(華形ひかるさん)です。
萌えた!!
めがね弁護士、万歳!



ショーの「カノン」は、
蘭寿とむさんが、とにかく踊りまくり!という内容でした。
オープニングは、ラスベガス辺りで見られそうだと思えるぐらい華やかで、
観ていてとても楽しいです!
今回はラインダンスが割と早く出てきて、
そこまでの流れがすごく好きでした。
ただ、そこから先は、これまでにもどこかで見たような
……いつもの宝塚のショーという感じで、単調に思えました。
赤い月や黄色い月が背景で出てくる辺りは、眠かったです……。
でも、ショーの流れが切れないというか、
場と場の繋ぎが早くて、テンポよく見られるのは良かったです。
終盤の、Wデュエットダンスで見られた
白メインのグラデ衣裳(青と紫)が、すごく綺麗でした!

凄いなぁと思ったのが、とむさんの大階段での反りっぷり。
頭から落ちたら大変なことになるので、はらはらしましたww

それと、花火が上げられている光景が照明で作られているのが
とても綺麗でした。



この作品は、あと一回、見に行く予定です。
特に「復活」については、お話の筋は分かったので、
次はもっと細かなところに目を向けようと思っています。
そして、その後で原作も読んでみるつもりです。
楽しみ!

ここまでお読みくださり、ありがとうございました。



2012-02-26 21:54  nice!(0) 
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