さくらもちモチ

感想＠アニメ「屍鬼」第悼と腐汰話（第12話）：夏野の友*ネタバレあり　[アニメ感想] [編集]

フジテレビ・ノイタミナ枠のアニメ「屍鬼（しき）」の感想です。
今回は第悼と腐汰話（第12話）：夏野の友です。

私は原作（小野不由美先生の小説）の大ファンです。
藤崎竜先生の漫画も、月刊ジャンプスクエアで一応読んでいます。
以下の記述には、先の展開も含めたネタバレがあります。
このアニメ版で初めて作品に触れる方は、閲覧にご注意下さい。


前回の感想はこちら。
【第悼と悲屠話（第11話）：桐敷の屋敷へ！】

各回の感想記事のURLは、他作品も含めて
こちらの一覧記事でまとめています。
【2010年7月 開始作品】

────

まずはあらすじから。フジテレビの公式サイトより転載します。

時が迫る。夏野は部屋で友の襲撃を静かに待ち続ける。見なれた影がやがて現れる。友はあの日と変わらないままだ。絶望の夜闇に切なる希望は瞬き、そして消えていく…。

随分と久し振り！な屍鬼です。
三週間振りくらいの放送だったのでしょうか。

今回、夏野が徹ちゃんに襲われるシーンは
フジリュー先生の漫画で凄く印象に残った部分です。
しかも、徹ちゃんが牙を当てたのは
夏野が「さぁ吸え」と言って出した腕ではなく、
彼の首筋であるというのが凄いです。
徹ちゃんは、友達の血をほんの少し分けてもらうのではなく、
生きる為の食糧を得るつもりで
人間の血をガツガツ吸っているのが
よく分かります。
つまり、夏野が言っているのは綺麗事にしか過ぎず、
徹ちゃんが結果的に行動で示した通り、
現実はもっと非情で欲深いものだということが
上手く説明されています。

人間で言えば……
ダイエットや禁煙を始めたばかりの人が
好物（甘いものなり煙草なり）を手にした時に抱く感情を
何十倍にも膨らませたものなんでしょうね。
屍鬼には人間としての記憶が残っているので
理性もとりあえず働くけれど、
飢えという本能には逆らえず、
結果、襲いたくもないのに襲ってしまうケースが
まさに徹ちゃんなわけで。
しかも、血を飲む以外には
その飢えを満たしてくれるものはなく、
代用品が効かない本能の行動であるのが、
人間と一部の屍鬼にとっては非常にやっかいな点です。

また、今回、夏野は自ら仕掛けた賭けに失敗し、
徹ちゃんに襲われてしまいましたが、
彼と同じことをして成功しているパターンもあるんですよね。
屍鬼（というか生前の性格）にもよりますが、
要は、血さえ飲めれば、
その耐え難い餓鬼感を消せるので、
人間と屍鬼の間で約束を取り決める事ができれば、
短い間だけ共存する事は充分に可能です。
（長期的には、やはり無理だと思います）
今月号のSQ（フジリュー先生の漫画）では、
非常に特殊な例だと言える村民のエピソードが載っていますので
興味がある方はどうぞ。



さて、そんな夏野を助けようとする田中姉弟。
この辺は……
夏野たちの事情をよく知っている私たち視聴者は、
彼の父に向かって
「あんたは勘違いしてるよ！」と言いたくなりますが、
彼がああ思ってしまうのもよく分かります。
近代の日本では、世界と比べて宗教があまり重要視されておらず、
私もそうですが、無宗教だと自己紹介する人が
決して少なくありません。
で、たとえば、初詣と称して正月に神社に行ったり、
破魔矢やお札等を貰ってくることは常識の範囲とされていても、
それが過剰となると「ヤバくない？」と言われるわけで。
田中姉弟が頑張ってお札を貼ったあの部屋は
それこそ、ヤバい部屋ですよね。
あれぐらい常にやっておいたら、
夏野が徹ちゃんに襲われることもなかったのを踏まえると、
彼のお父さんにお札を撤去されてしまった挙げ句、
二人が彼に嘘まで吐かれて追い払われたのは
残念でなりません。

このペースだと、次週あたりで
夏野は一旦、お話から退場するんでしょうか。
小野主上の原作派（小説）としては、
そのままずっと退場してほしいのですが、
こちらはフジリュー版ですからね。
仕方がない事として、受け止めます。

次週も楽しみです。




────
ランキングに参加中です。記事がお気に召しましたらクリックしてやって下さい。
*別窓でランキングサイトが開きます

上記でエラーが出る方はこちら【にほんブログ村】からお願いします。

続きの感想も書きました。
【第悼と惨話（第13話）：無力な自分】

宜しければ、合わせてご覧下さい。