SSブログ

感想@NHK松江局制作「地域発ドラマ 農ドル!」*ネタバレあり [テレビドラマ感想]

NHK松江局制作の地域発ドラマ「農ドル!」の感想です。
以下の記述にはネタバレを含みます。


私は朝日新聞朝刊を購読していて、
放送日の少し前に
こちらのドラマが紙上で取り上げられていたので
(褒められていたので)
視聴するのを楽しみにしていました。


良くも悪くもまっすぐな作品だなと思いました。
ちょっと失礼な言い方になってしまって申し訳ないですが、
放送局がNHKで、「地域発ドラマ」という冠があるからこそ
通用した(放送するのを許可された)作品だった気がします。
民放なら、「平凡すぎる」「よくある話」として
企画を提出した段階で蹴られていたかもしれません。

「失言を機に、アイドルタレントが地元に帰り、
農業に本格的に携わっていく」という導入部分は
大変素晴らしかったのですが、
いかんせん、その後の内容が在り来たりでした。
女性アイドルが
最初は面倒くさがっていた農業に徐々にハマっていき、
しまいには、
あれほど復帰を願っていた東京のバラエティ番組の出演を蹴ってまで
地元に残って元アイドルとして頑張っていくという展開は、
視聴者の誰もが想像できる内容だと思います。
逆に言えば、視聴者が
「このタイトル&導入なら、こういうドラマを観たい」と望む内容
そのものでしたので、
ドラマのお約束がそのまま効いていて
全てが予定調和で終わっている分、
気楽に、ストレスなく見られたのですが、
最後まで見ると、あまり心に残らないというか、
インパクトに欠けるなぁと思いました。
見終わった直後はこれでも良いけれど、
他のドラマを見たら、
こちらの作品の存在を忘れてしまう弱さがあるなと思えました。
一時間弱という短い尺の中では
これが限度だったのかもしれませんが、
もう少し、ドラマ的な面白さがあっても良かったと思います。


ただ、農業人口の減少、世間一般の関心の少なさ、
常に生じている人出不足の問題や、
それでも各家が協力し合わなければならない現状、
荒れた田畑を復活させるには大変……などと、
まともに描いたら誰も見てくれなさそうな深刻な問題を
さらりと作中に入れていたのは良かったです。
問題提起にはなってなかったですが、
少なくともドラマを見ていた時だけは
「これは問題だよな」と真面目に考える事ができました。


主人公のアイドル・荒木理央を演じられた平田薫さんは
とても爽やかで、かわいらしくて、素敵だったと思います。
私も好感を持てました。
また、周りを固める役者さんも自然な演技で良かったなぁ。
手塚理美さんの農家スタイルを見られたのも
非常に斬新でした。
美人さんは、どんな格好をしても美人さんですね……。


ドラマを見ていて思ったのですが、
農家を題材にするなら、是非、
川原泉先生の漫画「愚者の楽園」「大地の貴族」「美貌の果実」を
ドラマ化してほしいです。

美貌の果実 (白泉社文庫)

美貌の果実 (白泉社文庫)

  • 作者: 川原 泉
  • 出版社/メーカー: 白泉社
  • 発売日: 1995/09
  • メディア: 文庫

ご存知の方も多いかと思いますが、
カーラ教授のこの三作は、生産家の作品なんです。
「愚者〜」がフルーツ農園、
「大地〜」が酪農家
「美貌〜」がワイナリー(葡萄農園)というラインナップ。
どれも短編漫画ながら、
他のカーラ教授の漫画同様、とても面白い上に
読むと蘊蓄を語れるようになる濃密っぷりの内容で
非常に素晴らしい作品なんです。
比較しても意味がないのですが、
こちらの「農ドル!」のお話も
これぐらいぶっとんだ
──そして、面白いお話だったら良かったのになと
心底思いました。


────
ランキングに参加中です。記事がお気に召しましたらクリックしてやって下さい。
*別窓でランキングサイトが開きます
にほんブログ村
上記でエラーが出る方はこちら【にほんブログ村】からお願いします。


2010-10-01 18:58  nice!(0) 
共通テーマ:テレビ

nice! 0