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感想@映画「ドラゴンヘッド(実写版)」*ネタバレあり [映画・舞台]

実写映画「ドラゴンヘッド」の感想です。

ドラゴンヘッド [DVD]

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  • 出版社/メーカー: アミューズソフトエンタテインメント
  • メディア: DVD

以下の記述にはネタバレを含みます。
私は原作の漫画を少しだけ読んだ事があります。


自宅にいた時に、たまたまCSでこちらの作品が放送されていたので
視聴しました。
上記の通り、私は漫画を少しだけ読んだ事があります
──といっても、本当に冒頭のみで、
原作の終わりがどうなっているのかが気になったので、
この実写版映画が少しでも参考になればと思って、見てみました。



いやぁ……久し振りに駄作を見た気がしました。
公開当時から「これってヤバくない?」という空気が
ムンムンと漂っていましたが、
正直なところ、ここまで酷いとは思いませんでした。
こちらの作品、ウィキペディアを見ると、
興業収入は10億円を超えてるんですよね。
見終わった後「お金を返して」と思ったお客さんは多かっただろうなぁ。
私も「時間を返して」と思いました。



私が「これは酷い」と思った点は、こちらです。
・内容が無い/薄っぺらい
・“俺達の戦いはこれからだ!”的なラスト
・登場人物の魅力の無さ
・リアリティの欠如


まず【内容が無い/薄っぺらい】。
主人公たちが乗った新幹線がトンネルの中で事故に遭う
→日本全体が壊滅したらしく、東京も廃虚と化している
→人々が狂い、災害が止まない中、
主人公がヒロインを抱き締めながら「俺は生き続けてやる」と叫ぶ
……ラストまでのあらすじを要約すると、こうなります。

主人公の青木テル(妻夫木聡さん)と
瀬戸アコ(SAYAKA/神田沙也加さん)は、
状況がよく分からないまま外に出て、
崩壊した世界を目の当りにします。
で、食べ物などを求めて放浪し、
また、東京を目指しながら(帰宅しようとする)
あれこれ災難に遭い、逃げるのですが、
本当に逃げているだけなんです。
普通、こういう被災もの&世界崩壊ものって
主人公やヒロインが、
何もできない状態からどんどん成長していくのが、
見所の一つとなりそうですが、
こちらの作品での彼らは逃げるだけで終わっています。
なので、彼らがピンチになる度にドキッとするけれど、
逃げて終わるだけなので、
ホッとする事はあっても、
高揚感/爽快感を覚えるシーンが一切なく、
見ていて楽しくありませんでした。

まぁ、危機的状況に置かれた人間が成長しやすいとはいえ、
何も変わらない人だっているでしょうし、
また、実際に被災してみれば
苦しい事の連続で、楽しい事なんか全然無いでしょう。
そういう点では、リアリティがあるのかもしれませんが、
娯楽として映画を見る際に、
楽しく興奮できるシーンが全く無いのでは
(怖さで緊張するシーンが多い)
物足りなくてたまりません。
というか、映画としての出来は駄目だと思います。
ドキュメンタリー作品ならまだしも。

同様に被災した人々との交流も僅かにありましたが、
襲われた/飲食物を貰った/状況を教えてもらった……と、
その時だけの付き合いで、次に繋がらない事から
全然盛り上がらなかったです。



次、【“俺達の戦いはこれからだ!”的なラスト】。
これはもう、まんまです。
問題が何も解決していない/
こうなった原因すらはっきりと分かっていない/
この先、どうやれば生きていけるのかも全く分からない状態で
主人公のテルが「俺は生きる!」と宣言します。
ぶっちゃけ、周囲では火山からの火の玉がバンバン飛んできていて、
主人公たちには食糧も水もありません。
落ち着いて寝る場所さえない状態です。
なので、
「こんな時にこんな宣言をしたのはいいけれど、
じゃあ、具体的に君達はこれからどうするの?」と
問いたくなるようなラストでした。
まさに、打ち切り漫画の最終回のような終わり方でした。



三つ目【登場人物の魅力の無さ】。
原作の漫画でも、
顔&身体に化粧をほどこした高橋ノブオ(山田孝之)は
とても無気味で怖かったので、
これはよく描かれていたと思います。
でも、結局、出落ちで終わっているのが勿体ないです。
変装した!という事実があるだけでした。

普通、映画やドラマでの主人公の男女は、
危機を一つずつ乗り越えていく度に、
その仲をどんどん深めていくものですが、
こちらの作品では、そういう描写がほとんど無かったです。
仲間としての友情がほのかにあったくらい?
──それも、相手を好きでというより、
“この人がいなかったら、まともに話せる人がいなくなるので困る”的な
感じがしました。
東京の地下の建物(皆が缶詰のお粥を食べていたところ)で、
それまで離れ離れだった二人が再会して、
ようやくお涙頂戴的な展開になりましたが、
それ以前に二人の心の繋がりが感じ取れるようなシーンがなく、
積み重ねてきたものがないので、
ここだけ感傷的なシーンにされても泣けないよなぁと思いました。



最後、【リアリティの欠如】。
ウズベキスタンでの長期ロケはすごいと思います。
でも、CGがしっくりこなくて、
実写部分との差を感じられるので、見ていてムズムズしました。
また、爆発系といった炎関係(噴火を含む)が、総じてショボいです。

呑まず食わずで何日も放浪できるかというツッコミは
とりあえず置いておくとして。
外の世界では火山灰が降っていたり積もっていたりするので、
主人公たち二人は、しょっちゅう白く汚れてしまいます。
でも、
事件が起こって全身が汚れた
→いつの間にか、何故か顔と髪だけきれいになっている
→また次の事件で汚れた
→また顔と髪が(以下略)の、繰り返しです。
特に、アコの髪がアップになった時に
髪の毛が、天使の輪が出るほどツヤツヤなのには笑ってしまいました。
若手の人気イケメン俳優と、
当時はアイドル的売り出し方をされていた女優の共演という事で、
ずっと彼らの顔を汚す事はできなかったのでしょうが、
水も無い、拭くものも無い状態で
顔や髪だけきれいになっている映像は、とても不自然でした。

また、何が起こっても主人公たちが生き残るのは基本ですが、
火山の噴火が近くであった時など
「おいおい、普通なら一瞬で死んでるよ」と思ってしまいます。
しかも、上記の通り、主人公が何かをして危機を回避する事はなく、
ひたすら逃げるだけですからね。
都合が良過ぎます。



……とまぁ、ざっと挙げてみただけでも
これだけ不満がいっぱいです。
漫画をちゃんと読んでない私でも、
原作ファンが読んだらポカーンとするだろうとは想像できます。
妻夫木さんファンにも、神田沙也加さんファンにも
あまりおいしいとは思えない映画ですので、
どうせ見るなら他の作品を選ぶ方が良いと思います。




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2010-06-10 22:02  nice!(0) 
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