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感想:アニメ「おおかみかくし」第7話「喪失」*ネタバレあり [アニメ感想]

アニメ「おおかみかくし」の感想です。
今回は第7話「喪失」です。
以下の記述にはネタバレを含みます。
私は原作のゲームを遊んでいません。


前回の感想はこちら。
第6話「恋」

各回の感想記事のURLは、他作品と合わせて
こちらの一覧記事でまとめています。
アニメ感想一覧:2010年1月 開始作品


────

今回も大変面白かったです。
放送時間の三十分弱が
あっという間に過ぎていきました。
私は、たとえ間違っていても
謎に対してああだこうだと想像するのが好きなようで、
こちらの作品を視聴するのが
本当に楽しみでなりません。
放送終了後に感想記事を見直してみたら
的外れな想像をしていたと判明して
赤面する事も少なくないですけれど、
まぁ、それも含めた上での楽しみなので、
存分に味わいたいと思います。



さて、本編の感想です。
今回も様々な事が分かり、幾つかの謎が提示されました。
今回は、各場面が印象的でしたので
人物ごとではなく、場面(エピソード)ごとに分けて記述します。

まずは、新たに齎された謎である
真那香織さんの家での出来事。
香織さんの体調不良の理由/症状については勿論ですが、
香織さんが、九澄博士の妹マナに対して
バイオリンのレッスンをもう止めると伝えた件が
私には気になりました。
マナを可愛がる香織さんの気持ちが本心らしいのを踏まえると、
香織さんがマナを煙たがったというより、
この先、あの家もしくは香織さん自身に
何か悪い事が起きそうなので、
今のうちに敢えてマナを遠ざけた目的があったように
私には思えました。
だからこそ、博士がマナに提案した
「次はレッスンじゃなくお見舞いに行く」行為は、
逆に危ないんじゃないかとも思いました。



今回、やっと名前が判明した謎の男
(私は「遊佐さんの声の人」と呼んでましたww)
賢木儁一郎の台詞も気になりました。
門まで来ていた賢木は、
家から出てきた香織さんと普通の会話をした(してしまった)後に
「ミエコの復讐を果たすじゃないのか」と
自分を諌めるように言っていました。
これではまるで、香織さんと親しくしてはいけない、
普通に会話をするのもあり得ないとでも言うかのようでした。

それから賢木は、帰る途中の博士を呼び止めて、
彼に自分の過去を話しました。
四年前、賢木は博士のように殺人現場を見たと。
警察に駆け込んだが無人で、
その後、殺人現場は跡形も無く消えていたと。
そしてその犠牲者は
賢木の婚約者のミエコさん(漢字が分かりません)だとも……。

ここで私、「あれ?」と思ったんですよ。
賢木は婚約者の仇を討とうとしているのに、
何故、香織さんを付け狙い、
「ミエコの復讐を〜」という独り言を発したのでしょうか。
博士が、大鎌の少女として櫛名田眠の名前を挙げた際に
賢木は笑いましたが、
彼は何に対して「そうだったのか」と気付いたのでしょうか。

これまでの話を振り返ってみると、
嫦娥町で行なわれている神落としの儀式(神人を殺す事)は、
誰もができる事ではないのか、
櫛名田眠が一手に引き受けていたようでした。
だからこそ、博士も賢木に、
「あの大鎌の少女は櫛名田眠だ」と教えたわけで。
しかしその前に、賢木が香織さんを
“婚約者の仇”として狙っていた事が分かる描写が
入れられていたのを踏まえると、
話が矛盾してしまいます。

──で、私が思い出したのが
香織さんの手首の異変です。
たとえば、櫛名田眠の前任が香織さんだったという事は
あり得ないでしょうか。
実際、町の歴史を踏まえると、
櫛名田眠が生まれる前から嫦娥町はあり、
神人も昔からずっと生息していたでしょうから、
櫛名田眠の前に
同様の役目を任されていた人間がいてもおかしくないと
私は思ったんです。
それこそ、櫛名田眠ような能力の子が生まれるまでの
“繋ぎ”のような存在で、
香織さんが嫦娥町に貢献していたのではないでしょうか。
(もしくは、ある一定の年齢になると能力が衰えるとか)

もし、香織さんも“神落とし”の儀式に関わっていたのなら、
現在の彼女の手首がおかしいのと、体調不良は、
かつてそれを行なった後遺症や反動ではないでしょうか。
東京の音大でバイオリンを本格的に学びたかったのに
そうしなかった理由を賢木に問われた際に
香織さんが「この街を離れるわけにはいかなかった」
という返事をしたのも、
こういう特殊な事情があったからではないでしょうか。

そして冒頭の話に戻りますが、
香織さんは賢木が単なる客人でなく、
彼に監視されている事に気付いていました。
香織さんが、自分が賢木に狙われているのを知っているからこそ、
マナを守る為に、あのように言ったのではないでしょうか。
かつて、香織さんがミエコさんに対して
神落としの儀式を行なった過去があるからこそ
香織さんは賢木の存在をその当時から知っていて、
彼から自分が恨まれている事も知っているのではないでしょうか。

それともう一つ。
以前の回において、
香織さんの家に向かって拝みながら歩いていた
奇妙な中高年の集団もいました。
八朔の大不作である今年だからこそ、彼らは
かつてこの街を守った彼女に縋ろうとしているのではないかと
思いました。

あと、ふと思ったのは、
上記の推測とは反する内容になりますが、
香織さんの右手の異変は
神落としの儀式による反動(呪いとか穢れとか)ではなく
実は、彼女自身が神人を超えた存在みたいなもので
物凄く特別なんじゃないかという事です。
怖いものって、人々から畏怖の対象になるじゃないですか。

あああ、ここまで書いておいて
大ハズレだったら恥ずかしいなぁ。
でも、今の私が放送で与えられた知識だけで考えると
このように考えられたので、
一つの可能性として残しておきますww



次は、賢木が語った過去の話──四年前の事件です。
香織さんの家の前で賢木が回想した過去についても触れます。
ここでも私は、幾つか引っ掛かりを覚えました。

四年前の賢木は、言わば、今の博士のような立場でした。
そして現在において
博士より現状をよく知る人間でもあります。

上記と被りますが、賢木の話を簡単にまとめてみると
・殺人現場を見た(血だまり/壊れた指輪)
・警察に駆け込んだが無人だった
・その後、殺人現場が跡形も無く消えていた
・殺されたのは賢木の婚約者のミエコさん(同じ大学の生徒)
……となります。
つまり、ミエコさんが神人化したので、
誰かに祓われた(神落としをされた=殺された)ようです。

ただ、賢木も博士と同じように、嫦娥町の人間ではありません。
また、賢木による
「彼女は卒論の為にこの街を訪れていた」という説明からして、
ミエコさんがこの街の住人でない事も分かります。

そして問題になるのが、
賢木の大学時代らしい回想シーンに出てくる
ミエコさんと思しき若い女性の外見が、
香織さんと瓜二つだった事です。
放送で、顔が(髪型も)似ているキャラクターが複数登場した際、
普通に考えれば
・その二人は血縁関係にある(双子/姉妹/親戚)
・同一人物
・片方が整形して相手と同じように顔を変える
のどれかに当たります。

三番目は今回に相応しくないので外します。
また、今回のお話では
現在:香織さん&回想:ミエコさんと
二人が登場した時間がそれぞれ異なりますので
香織さんが、記憶を無くしたミエコさんである可能性も
ないわけではないですが、
そうなると、ミエコさんが殺されたという事実と合いませんので
同様に外しておきます。
(運良く、ミエコさんが大量に出血しただけで殺されずに済み、
何らかの方法で“神人”から普通の人間に戻る事ができて、
記憶を消された上で、
香織さんとしてあのように普通に生活している
……という想像もできますが、無理があるように思えます)

また、現在の香織さんが立派な一戸建に住んでいるのに
他の家族が一切出てこないのもおかしいです。
二人の顔が同じ、年頃も同じ……とくれば、
香織さんとミエコさんは血縁だと考えるのが一番自然でしょう。
たとえば、
「この街を離れるわけにはいかなかった」香織さんは
一人で嫦娥町に残り、
ミエコさんは、彼女が幼い内に他の家人と共に引っ越したか、
遠くの親戚や赤の他人に預けられたのではないでしょうか。

ただ……もし香織さんにそのような能力があるのなら、
同じ顔をしたミエコさんが
何故、神人化したかが気になります。
(これについては、この記事の下部で改めて触れます)



次は、嫦娥町の問題に首を突っ込み過ぎた朝霧かなめちゃんが
どこかの監禁施設に捕らえられたシーンです。
図書室で博士に推測を語るシーンや、
その後の、資料館でのシーンが危うかったので、
彼女が自警団らしき男性に捕らえられたシーンでは
ドキドキすると同時に、やっぱり捕まったか!とも思いました。

今回、“嫦娥かぞえ唄”という単語が出てきました。
これって、次回予告の映像において
誰か(櫛名田眠?)がうたっている唄ですよね。

その施設は、人として普通の生活を送る事は可能そうでしたが、
明らかに人を閉じ込めておく為であるのがミエミエで
こういう事が普段から日常茶飯事に起きているようなのが
私には怖かったです。
滅多にない事なら、そもそもあんな施設は無いですよね。

そこでは、
以前の回で摘花一誠さんに口を吸われた後輩の女の子が
隣の部屋に捕らえられていました。
その後輩ちゃんの話によると
・ここはどこかの地下
・一誠さんにキスをされたせいで、こうなった
・一誠さんは神落としの儀式によって殺された
・(後輩ちゃん自身が)匂いが気になっている
・神人=人/人ならざるもの
・かなめちゃんは神人でない=おちびと(落ち人?)

一誠さんにキスをされた
(精気を吸われた)後輩ちゃんが保護された件は、
以前の回で、その報告がなされるシーンがありましたので
私も驚きませんでしたが……。
ここって、もしかしたらセンターの地下じゃないでしょうか。
そして、どうも後輩ちゃんが神人化しているらしいのを踏まえると、
ここは、後輩ちゃんのように被害に遭った人を隔離したり、
しずくちゃんのように
余計な興味を抱いてしまった人や
嫦娥町に不利益を齎す人を監禁しておく為の
専門の施設なのではないでしょうか。

そして、新たな疑問が出てきました。
これまで私は、旧市街の人間が神人化すると思っていました。
しかし、今回の後輩の女の子の説明を踏まえると、
普通の人でも神人化する可能性があるようです。
後輩ちゃんの言う“キス”が鍵になるなら、
神人に精気を口から吸われる行為が引き金になるのか、
もしくは、病気のウィルスのように、
体液(唾液・粘液・精液)でもって感染するのでしょうか。
(後輩の女の子が、元々旧市街の人間だった事も考えられますが)
唾液感染があるとなると、
簡単に広まってしまいますよね。

──で、改めて気になるのが
四年前に賢木が目撃したミエコさんの殺害現場です。
ミエコさんが元々そういう因子を持っていたか、
(香織さんも含めて旧市街の人間だったとか)
もしくは、
卒論の為にやってきた嫦娥町への滞在中に、
賢木の知らないところで、神人化した住人に襲われた結果、
彼女自身も神人化してしまい、
あのような事になった……とも考えられます。

もう一つ気になっているのが、
視聴者にとって貴重な症例である摘花家の人々です。
彼ら一家は旧市街の人間だそうですが、
神人化したのは、子供達だけなんですよね……。
私には、
親である夫婦にはその危機すらなかったように思えました。
この親子に血縁関係があるとの前提の上で、
あれこれ考えてみると、
昔、この一家が旧市街にいた頃に、
子供達だけが神人化するような事が
(神人に襲われた/感染した)あったのでしょうか。
たとえば、
この一家が何も知らずに旧市街に引っ越してきた
→子供達二人が神人化したのが発覚
→こんな環境は嫌だと言って、一家で新市街に逃げる
→センターで薬を貰いながら生活
→博士が新市街に引っ越してくる
というお話の流れだったとも、想像できました。

結局のところ、考えれば考えるほど、
香織さんがキーマンなんだと思えてならないです。



ちょっと話が戻りますが、アバンの映像について。
冒頭で、嫦娥名物のはっさくがたわわに実り、
そのうちの幾つかが
グチャッと音を立てて地面に落ちた映像が
流れました。
はっさくが、カプセル薬の原材料として
嫦娥町の人々から重宝されているのは勿論ですが、
こうして、実が自然に落ちて潰れ、匂いが町中に流れ出る事が、
神人の本能的な衝動を普段から鎮めているのかなと
実感できました。
一誠さんが、はっさくの匂いがするらしいカーコロンを
常に愛車の中に置いていたように、
嫦娥町の住人(特に神人)は、
意識的にこの匂いを嗅ぐようにしているのかもしれません。
……五十鈴ちゃんが言っていたように、
たとえ、それを嫌っていたとしても。

そして、最後の映像。
雨の中で佇む櫛名田眠ちゃん。
あれほど忠告したのに──皆にも警告したのに
嫦娥町の秘密に近づいてしまい、
前回ではあわや被害者になるところだった博士に対して、
思うところがあるようです。
今回の姿は、何かを博士に言いたいけれど言えない
──警告云々だけではなく、
彼女自身が博士に救いを求めているようでもありました。
彼女が好き好んで人を殺しているのではない以上、
また、誰にも弱音を吐けない以上、
ああやって本心を押し殺しながら
辛さに対して健気に耐えているのかと思うと、
忍びないです……。

ところで、大鎌の刀が曲がっている(曲刀)のは
あれが満月──赤い月を捩っているからでしょうか。
この大鎌と共に
座敷で一人、静かに座っていたシーンからも
彼女の心の強さと痛みが、同時に伝わってきました。



書いている内に思い出したので、
ここでもう一つ、疑問を挙げておきます。

神人の定義について。
これは、私が思っていたよりも少し幅がありました。
「人であり、人ならざるものでもある」んですね。
つまり、一誠さんや五十鈴ちゃんのように、
本当に発症してしまった人(人ならざるもの)も神人だけれど、
そうなる可能性を持った人も、神人と呼んで良いようです。
そして、この“神”とは
“おおかみ(狼)”を指す単語であるようです。
“神人=かみびと=おおかみびと”ですね。

というか、私の意識が違ったのかもしれません。
私は
・博士たちが普通の人
・神人が普通じゃない人
という意識でいました。
しかし、この嫦娥町の人々にとっては
これが逆なのではないでしょうか。
神人の方が、普通だったのでは??

もしかしたら昔は
嫦娥町には神人しかいなかったのかもしれません。
しかし、年月が経過するにつれて
他からこの町に移住してきた人が増えてきて
お互いを言葉で差別化する必要に駆られた
──それで、狼がいない/狼でない人という意味で
“おちびと(“おおかみ”が落ちた人)”という単語が
新たに作られたのではないでしょうか。

で、嫦娥町の新しい住人である“おちびと”も、
先住人である神人を敬い、
上手く共存してきたのではないでしょうか。
だから、博士のクラスメイトである小笠原君が
突然転校するような事態が起こっても、
博士以外は誰も騒がなかったのではないでしょうか。
あの時のクラスメイト達はきっと、
「あぁ、またアレがあったのね」と思い、
事件を静かに受け止めていたのだと
私は思えるようになりました。
襲う側も襲われる側も、その家族も、
これがあるのは当たり前と思っているので
泣いて自分達の運命を呪う事はあっても、
それを対外的に出すことはしないのではないでしょうか。



それと、今回のAパートで、
自身を便利屋だと称した賢木に向かって
一人の男が博士の書類(例のリスト)を手渡していました。
その際に、彼は
「元々この町にこんなヤツらは必要ないんだ……。それを……」
と呟きました。
口元が意図的に隠されていたので、
この呟きが、口から発せられた言葉なのか、
はたまた彼の心の声(モノローグ)なのかは、定かでありません。
私は、録画した映像を何度か見直してみましたが
どちらとも取れるような演出でした。

で、これ……
彼が言う「こんなヤツら」が外部の人間を指すのなら、まさに、
神人や神祓いの問題は、
以前は外部の人間に頼らずとも嫦娥町の中で解決できた
(住人だけで問題を解決できた)事を示していると
思えました。
また、「こんなヤツラ」が
例のリストに載る人間──博士達を指すのなら、
博士は誰かによって
意図的にここに呼ばれた可能性があるのかなとも
思えました。



今回、この感想を書くだけで3時間ぐらい掛かりましたが、
ああだこうだと想像し、まとめるのは
大変楽しい作業でした。
推敲しましたけれど
読みにくい/分かり辛い箇所があったらすみません。
また、原作のゲームを既に遊んでいて
謎の理由やキャラクターの正体をご存知な方は
「あ、こいつまた変な想像してる」とご笑納下されば幸いです。

次回も楽しみです!!







────

感想は以上です。
ここまでお読み下さり、ありがとうございました。

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続きの感想も書きました。
第8話「錯綜」

宜しければ、合わせてどうぞ。


2010-02-20 23:44  nice!(0)  コメント(0) 
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