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感想:ドラマ「眠れる森 A Sleeping Forest*再放送」第12幕(最終回)「聖夜の結婚式」後編*ネタバレあり [テレビドラマ感想]

連続ドラマ「眠れる森 A Sleeping Forest」の感想です。
フジテレビの再放送で視聴しています。
今回は第12幕(最終回)「聖夜の結婚式」です。
昨日の前編に続き、
今回は後編の感想を記します。

以下の記述にはネタバレを含みます。


前回の感想はこちら。
第12幕(最終回)「聖夜の結婚式」前編

各回の感想記事のURLは、他作品と合わせて
こちらの一覧記事(インデックス)まとめています。
テレビドラマ感想一覧:再放送 視聴


────

とても面白かったです!!!!
凄かった。
噂で聞いていた以上に、全てが大変面白かったです。
このドラマが“神ドラマ”と呼ばれていて
今でも人気が高い理由が、よく分かりました。
こういう濃厚なドラマを見てしまうと
本当、普通に流れている新作ドラマは
色褪せちゃいますね。



放送直後に書いた短い感想は[こちら]です。
既に内容が重複していますが、ご容赦下さい。



今回の後編は、濱崎輝一郎によって
十五年前の真相が打ち明けられるシーンから
再び流されました。
昨日、既に見たシーンだったのに、やはり面白かったです。

そしてとうとう
カメラのフラッシュを大量に浴びた事により、
主人公である大庭実那子自身も
本当の記憶を取り戻したわけですが……
犯人が濱崎だと知った後、彼を見つめる目が
何とも言えませんでした。
濱崎も、肝がすわってますよね。
このくらいで気が動転しているようでは、
そもそも十五年前に一家惨殺なんかするわけないのですが、
改めて、もう彼は普通じゃないんだと実感しました。



国府が濱崎を刺し、彼に地獄を語るシーンを見た時、私は、
このドラマで初めてぼろぼろと泣いてしまいました。
涙が止まりませんでした。
ドラマを最後まで見終えた今、冷静に考えてみると、
これまで不審者でしかなかった国府が
この台詞&実那子への詫びだけで
一気に“良い人”に格上げされたのには
制作側の思惑などを感じてしまいます。
でも、やはり、国府を憐れむ気持ちが勝ってしまいますね……。

結局、国府もあの日に死んだのと同然でした。
以前の回で、内縁の妻に最後の電話をした時の内容からいって、
彼自身は己の幸せを掴む気など、さらさら無かったんでしょうね。
国府はまさに、濱崎を刺す為だけに生きていて、
今後もそうし続ける
……十五年前の真相は、警察も把握しているので、
今回の国府には、ある程度の情状酌量がなされるでしょうが
(しかも、殺してないので傷害で済む)
彼は、濱崎を精神的な地獄にたたき落としたと同時に、
彼自身も、その汚濁の中に身を投じたんだなと
思いました。

このシーンでの国府の台詞は、
本当に鬼気迫っていて怖かった分、
彼がかわいそうでなりませんでした。
人が死ぬという事は、
亡くなった人の人生が断たれる事は勿論ですが、
生きている人の人生をも狂わせるものなんですね。



また、全てを知った実那子が
「眠い……眠ってもいい?」と言って
直季にもたれ掛かりながら目を閉じるシーンでも
私は号泣してしまいました。

正直、前回までは、
直季と実那子の姉弟設定は不必要じゃないかと思っていました。
でも、こうして二人がくっついているのを見ても
穏やかな気持ちでいられて、安心できるのは、
今の彼らの間に恋愛要素が微塵もないと
私が分かっているからかなと思いました。
やはり、二人が普通の男女だ(家族でない)と、
きっとそういう恋絡みが気になって、
見ていて気が散ってしまったと思うんです。

たとえは、このシーンにしたも、
いくら新郎が殺人犯だと分かり、
その場からいなくなったからといって
他の男の腕に抱かれて甘えるのはどうかと思ってしまいます。
それこそ、にちゃんねるの実況掲示板などでは
実那子はビッチ呼ばわりされたかもしれません。
でも、二人が血の繋がった姉弟で、
二人ともそれを事実として知っていると分かっているからこそ、
過保護なほどの直季の優しい思いが、自然に、
他のいやらしい考えに惑わされる事無く
ストレートに伝わってくるんだなぁと思いました。

まぁ、見てる私の心が汚れてるだけなんですが (´ω`)、


実を言えば、このシーンを見るまで、
私は実那子を可哀相だとはあまり思っていませんでした。
勿論、家族が殺され、自身も幼少時代に怖い思いをし、
大人になった今もわけの分からない男に付きまとわれ、
おまけに、犯人が自分を殺しにくるかもしれない……と、
実那子が散々な目に遭ったのは分かっているのですが、
彼女が尋常でなく不幸な境遇にいるという実感は、
途中から(直季が奔走する辺りから)薄くなっていました。

これは上記の通り、途中から、
まるで実那子に変わって直季が主人公になったかのように
彼が真相を究明する為に精力的に動き出したので
(視聴者の視点は直季に移っていて、
彼と共に真相を知っていく事が増えた)
当然だったかもしれません。
また、実那子から何となく感じられる
のほほんとした印象も、
不幸に見舞われたヒロイン像が薄まった原因かもしれません。

でも、このシーンでは
本当に実那子が可哀相だと思いました。
彼女が、まるで無防備な幼い子のようだと思えました。
そんな実那子を一番理解している直季が、
彼女を抱きかかえながらそれを許すという展開が
とても素敵でした。
「眠る」というキーワードが
生かされた瞬間でもあったと思います。



また、脚本家の野沢尚さんの公式サイトの作品紹介のページで
このような説明文がありました。
(転載するに当たり、適度に改行を施しました)
作品紹介:眠れる森

『眠れる森』では自分の人生に対する責任と命の尊さを訴えるべく、
『どんな過酷な人生でも自らが受けて耐え忍び、
あるいは過去を乗り越えていくことで人間は成長していく。
周囲はいくらか援助したり支えることはできても、
人生を肩代わりすることはできない。
そして、どんなに罪深い過ちを犯していようともすべてを引き受け、
その人生を生きろ、
人生のやり直しは不可能なのだから…』というテーマを提唱。


このテーマは、実那子は勿論のこと、
登場人物の皆の行動でちゃんと示されていたと思います。
最後の言葉は、直季が敬太に語った台詞でもありますね……。

個人的には、野沢さんが自殺で亡くなったのを踏まえると
お辛い時にこうしたご自分の作品を見る事はなかったのかなと
思ってしまいました。
私は、この「眠れる森」に限らず、
野沢さんが手掛けられたドラマが大好きなので、
彼の死が今でも本当に惜しくてたまりません。



最後の直季について。
正直に言うと、私は、直季の死を連想させるシーンが
多過ぎると思いました。
直季が、仕事中に照明のフィルム板を落としたり、
何もないところでいきなり転けたり、
ミカンを持つ手が危うかったり……までは良かったです。
でも、その後が、私の好みで語れば
ちょっとくどいなぁと思いました。
もし、あの一連のシーンを自分の好きなように変えられるのなら、
私だったら、
“中ノ森の駅に着いても直季が電車から降りない”シーンと、
“花を抱えている”→“それが落ちる”シーンだけにしたと思います。
更に言うと、花を抱えているシーンも要らないぐらいですが、
ここがないと、ネタバレEDにならない
(本来のOP映像に繋がらない)ので、加えました。
もうちょっと、直季が本当に死んだかどうかを曖昧にして、
視聴者の想像力を煽った上で
ズドーンとした重い虚無感を与える作りにしたいです。

でも、上記と矛盾しますが、
最後、直季の目頭から涙が一筋垂れたのは良かったなぁ。
あれは感情云々じゃなく、
彼の身体機能が停止した表れでもあるように思えました。
(直季が本当に死んでしまったから、
目から体液が出てしまったという感じで)
感情で流す涙なら、
あそこは目尻から涙を流すと思うので……。



さて、ネタバレEDについて。
「犯人は仲村トオル」のレスと共に、
このOPがドラマのネタバレである事は、有名な話です。
私も、この二つは視聴前から知っていたので
本当に本当に、種明かしが楽しみでした!!!
こんなに「絶対にネタバレを知りたくない」と思ったのは
久し振りでした。

そのEDが流れる前に、
実那子が直季から手紙を受け取り、
あのハンモックの前に移動しましたので
「あぁ、OPの実那子は直季を待って眠っていたのか」と
分かりました。
そこからは、怒濤でしたね。
いやぁ、興奮した!
最後にこれをもってくるかー!!!と、ドキドキしました。
本来のOPにはない、
直季の手紙を持っているところも良かったなぁ。

ずっと、OPで直季が花を持って駆けるのには
どんな意味があるんだろうと不思議だったのですが
これには納得しました。
まさしく彼は、王子様よろしく、
薄目を開けて待っているお姫様に会う為に、
花を携えて向かっていたんですね。
でも、これ……
本来のOP&今回のネタバレEDの最後の映像からいって、
二人は別の世界にいる(会えてない)んですよね。
直季の死によって、二人は分けられちゃったんだなぁ。
せつないです。
中盤、“目と目が〜”のシーンで会い、
直季は花を渡していますが、
あくまで子供の頃というのが、またせつない……。

“犯人は仲村トオル”であることから、
OPで濱崎がやたら逃げているのは
彼が真犯人だからというのは、最初から気付けました。
でも、もし、これを知らなかったら、
終盤までそれを表わしているとは思わなかったと思います。
ここが、楽しむ機会を逃してしまったので、
ちょっと残念……ですが、仕方がない事ですよね。

じっと何かを見ている国府については、
出所後の彼は、やたらとああしているシーンが多かったので、
十五年前の犯行直後の濱崎を目撃した時であり、
国府の、“濱崎を狙い、追い詰める者”としての立場を表わす
イメージ像でもあると思っていました。
今回のネタバレEDを見た後も、これは変わっていません。

敬太については……
ここ、私、今回のネタバレEDを見るまでは、
彼が飛び下り自殺をしたシーンだとは思ってませんでした。
敬太と言えば、特に物語の前半までは、
現在の彼より、実那子に植え付けられた彼の記憶の
(風間君が演じている、子供の頃の敬太が木から飛び下りるシーン)
印象がとても強かったので、
寧ろ、解答が違っていた事に驚きました。
また、ここが、敬太が死ぬシーンだった事により、
由理が傘を持って倒れたシーンは、
彼女が消された事に繋がっていたのかなと思いました。
それと、これは“こじつけ”かもしれませんが、
由理だけ傘を持っていたのは
一連の事件の中で、
彼女が部外者の立場で関わってしまった比喩だとも
思えました。

そして、上と重複しますが、
ハンモックまで駆けてきた直季の目の前には誰もおらず、
ハンモックから起きた実那子の目の前にも誰もいない……のが、
せつなくてせつなくて、また泣いてしまいます。
実は、今、普通のOP(他の回)も見直したんですが、
意味が分かって改めて見直すと
このシーンがむちゃくちゃ重くて、辛いです。
凄いなぁ。

普段、私はOPやEDを飛ばして見る事が多いのですが、
久し振りに「絶対見る」「何度でも見たい」と
思えました。
単なるお飾りではなく、
細部にまでこだわりがあって、
視聴者を楽しませようという作り手の心意気が
よく出ていたと思います。
素晴らしい映像でした。



はぁ……とりあえず、なんていうか……
語弊があるかもしれませんが、感無量です。
最後はハッピーエンドではありませんでしたが、
私は、普段から不幸萌えをしていて、
こういう死にネタが大好きなことから、
まさに私好みの終わり方だったので、
見終わった後に充実感まで覚えてしまいました。
まさに圧巻でした。
見て良かったと心から思えるドラマでした。

こういう骨太のドラマが
もっと積極的に作られると良いですね。







────
感想は以上です。
ここまでお読み下さり、ありがとうございました。

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2010-02-03 23:29  nice!(0)  コメント(0) 
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