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感想:ドラマ「日曜劇場 JIN-仁-」第11話(最終回)タイムスリップの果て…時空を超えた物語が今!!*ネタバレあり [テレビドラマ感想]

TBS「日曜劇場」枠のドラマ「JIN-仁-」の感想です。
今回は第11話「タイムスリップの果て…時空を超えた物語が今!!」です。
最終回(最終話)です!

JIN-仁- DVD-BOX

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  • 出版社/メーカー: 角川映画
  • メディア: DVD

原作の漫画については、
第2話視聴後に単行本の第1〜4巻を読み、感想も書きました。
漫画「JIN-仁-」1〜4巻感想
こちらの記事およびリンク先には、ネタバレを含みます。


前回の感想はこちら。
第10話「坂本龍馬、暗殺…」

各話の感想記事のURLは
他作品と合わせてこちらでまとめています。
テレビドラマ感想一覧:2009年秋冬 放送開始作品


────

放送時間が残り十分を切った時点で、
南方仁のタイムスリップ問題が全く片付いてないので、
「これは本当に“続きは映画で”が来る?」と思いきや、
それすらも来なかったので、
私はテレビの前で「えええ」とずっこけそうになりました。
最後、南方が片手で頭を押さえて「え?」と呟きましたが、
「『え?』と言いたいのはこっちだ!」と言いそうになりました。
な、なんだったんでしょう、この最終回は。

私は、「JIN」以外の作品に対する感想も書いておりまして、
その中にはアニメ作品も多いのですが、
ここ数年、原作を元にしたアニメでも、
こういう“投げっぱなし”で終わる作品がとても多いです。
原作が未完である場合、
原作通りに、最初から伏線を張るだけ張ったものの、
謎を解き明かさないまま、
最終回を迎えてしまうお話が、
注意書きもなく普通に放送されています。

ドラマもアニメも、今や
人気の原作ものでないと作品を新たに作りにくく、
また、原作側(漫画や小説の作者や出版者)も、
ドラマやアニメ化される事で本を売りたいですから、
双方の合意の上で、
青田買いのような真似がなされています。
本来ならば、原作の作品がきちんと完結した後で、
ドラマ化やアニメ化がなされれば一番良いのでしょうが
それでは遅い為、
ある程度の人気作品の場合、
連載のストックがあらかた溜まった時点で
ドラマ化アニメ化される事は、
当たり前のようになっています。
そんな中で、アニメは“投げっぱなし”が横行しています。
ドラマは、終盤の回でオリジナル要素を強める事で、
辛うじて独自の最終回を迎える事が、まだ多いです。
ただ、こうして、
人気の作品で“投げっぱなし”が平然と行なわれると、
他の作品でも真似するような気がして、
いち視聴者としては強い不安を覚えます。

というか、こちら、どう見ても、
続きのお話が用意されていて、
映画かドラマ第二期かスペシャル版に繋がりますよね??
こちらのドラマが
第一回目の放送から大人気だったからこそ
こうなったのでしょうが、
逆に、人気が普通(制作側が予想していた程度)だったならば、
今回の最終話で、きっちりとお話が終わっており、
南方がタイムスリップした謎も、
ホルマリン漬けになった胎児型腫瘍の謎も、
とりあえず解けていたのかもしれないと思うと、
皮肉だなぁと失笑せずにはいられませんでした。

お話の最後を次に繋げるのは構いません。
人気だったから、続編を作るという姿勢は良いと思います。
私も、そこを否定することはしません。
しかし、最初に掲げた謎は、続編まで持ち込まず、
そのお話の中でちゃんと解きあかしてほしいです。
もしかしたら監督さんや脚本家さんは、
「最後については、視聴者にお好きに想像して頂いて〜」なんて
言うかもしれませんが、
これは逃げだと思います。
きちんと答えを提示できないのなら、
最初から伏線は張らないでほしいです。
次の作品(映画やドラマ第二期やスペシャル版)への煽りに
使ってほしくないです。
(ただ、もし続きがないのなら、更に悪いですが……)

これまで私は、こちらのドラマを好意的に見てきましたが、
この“投げっぱなし”を目の当りにしては、
評価を下げざるを得ません。
伏線が回収されず、謎の答えが判明しなかった点以外では、
役者さんの熱演振りは相変わらず凄かったですし、
他の登場人物が未来に向かう気持ちもちゃんと描かれていたので
大変良かったと思います。
でも、最後の“投げっぱなし”で、全てが台なしです。



(12/21 追記)
“ラスト投げっぱなし”への不満は、
いくら書いても終わらないので、このくらいで。

以下、各キャラクターについて書いていきます。

まずは主人公の南方仁。
友永未来を消さない為に、
佐分利の診立てですら否定して、うだうだとしていたのが
非常に人間臭かったと思います。
また、散々悩んだ末に、緒方洪庵の墓に相談にも行って、
手術をする覚悟をとうとう決めたのも素晴らしいです。
やはり、普通の人のように悩む事はあっても
南方が根っからの医者である事が証明されたと思います。

友永未来と写る写真を一時的に埋めておきながら、
手術が終わったらすぐ取り出そうとしたのも
なんかかわいかったです。
私はてっきり、あの写真は箱ごと
あのままずっと埋めておくんだと思っていたので、
「もう掘り起こすの?」と笑いそうになってしまいました。
でもあのシーンは、南方がどうするかでなく、
“写真が消えた”という事実の方が大事ですからね。
視聴者にその事実を見せる為にも
掘り起こす必要はあったと思います。

また、これは野風にも言える事ですが、
彼女との別れにおいて、
南方が心から「ありがとう」と言えた事が
本当に良かったです。
友永未来と野風に何らかの繋がりが見えた以上、
あの手術(というか縁談の御破算)は
南方にとって大きな分岐点だったわけで。
しかも、一度行なってしまったら
それこそ取り返しのつかない事のようだったので、
やり終えた南方に後悔がひとかけらもないのは
本当に良かったなと思いました。

野風も言っていましたけれど、
南方と咲さんで、“あうん”の呼吸ができていたのも
良かったです。
もう、どちらにとっても相手が大事なんだと
何となく分かるシーンで、
見ていて非常に好ましかったです。
これから先も、二人で頑張っていくのでしょうね。



次は咲さん。
誰かが言っていましたが、咲さんは常に走る人でした。
でも、そうして一生懸命に走る姿が人の心を打つというか、
彼女の大きな魅力だったと思います。
今回の序盤では、南方も“らしくない”状態だった他、
咲さんも“らしくない”(南方を諦めるので)状態で、
彼女にしては珍しく、遠慮もしましたけれど、
結納を蹴って南方の元へ参じるシーンからは
彼女の本領発揮だったと思います。
走っている途中で落とした打ち掛けは、
さぞかし高いのでしょうね。
きっと、誰かに即座に拾われて、売られてますよね。
また、今回は、初回の“産婆”もどきを彷彿とさせる
足の豪快な見せ方が、逆にかわいらしかったです。
やっぱり咲さんはかわいいなぁと、
私はテレビのこちら側で、彼女にメロメロになっていました。

野風がお別れの接吻をした際に、
咲さんはびっくりしていただけなので、
後でこっそりと、南方に嫉妬を見せていたらかわいいなぁと
思っています。
でも原作と違い、こちらのドラマでは、
オリジナルキャラクターである友永未来の存在が
非常に大きいので、
この二人が恋愛関係に至るまでには
高いハードルを幾つか越える必要があるので
なかなか難しいのだろうなと思っています。



次は、坂本竜馬。
おいおいおいおいおい!と笑ってしまいました。
引っ張り過ぎ!
私も見事に釣られましたww
助けられた漁村で、
美味しい魚と美人なお姉さんを堪能して
ウハウハだったって、何それ……って感じですw
おかしくて、私も笑ってしまいました。
南方に突っ込まれた際に
上手く誤魔化してしまったので
事の真偽は分かりませんが
ああやって話を流していた点も含めて
そういうところが竜馬らしいですね。
そして今回は、いつになく豪快に笑っていた気がします。
また、南方との友情もちゃんと感じられて
何よりでした。
この二人が一緒にいるシーンは
やはり見ていて楽しいです。

原作の漫画を読まれた方はご存知でしょうが、
作中では、現在の世界を垣間見た人間もいるので
個人的には、その役割を坂本竜馬に求めても
良かったのではないかと思っています。

最後、靴を履いて遊んでいる(?)姿も
見ていて楽しかったです。
草履しか履いた事がない人間にとっては、
足全体を包む靴の感触は、落ち着かないんでしょうね。



さて野風。
今回のドラマ化で、南方の話が
きちんと終わらなかったのを踏まえると、
これは彼女の物語と言っても良いかもしれません。
身請け話が御破算になったとはいえ、
晴れて吉原を出る際に白無垢姿を選んだのは
本当に粋でした!!!
ここは原作通りなのですが、
漫画では分からない空の青さが眩しくて
ドラマならではの良さが出ていたと思います。
普通に歩くだけで捻挫をしそうな
高いぽっくりを回すようにして歩く姿も、
まるで歌舞伎役者が見得を切るようで、
花魁・野風の最後の晴れ舞台という感じで
とても素敵でした。
また、吉原の大門を抜けて外に出ると、
それを潔く脱いで素足になるところも
見ていてたまらなかったです。
「空がちょいと高うなりんした」との台詞も
凄く効果的だったと思います。

台詞といえば、皆と別れるシーン。
この時代、男女が並んで歩くことすら憚りなのを思えば
(当初は咲さんも、南方から離れて歩いていました)
人前で接吻をするなど、まずあり得ないわけですが、
それでもしちゃうところに、
野風の素敵さが表れていたと思います。
「では、みなさま、おさらばえ……」と挨拶をして
去っていったのも素敵でしたし、
その後の坂本竜馬→南方との会話も本当に良かったです。

「野風、まだ雪になりたいかぁ」
「まっぴらごめんでありんす。
これからは、己の足で行きたい所に行くでありんす。
そこで誰かと出会い、誰かを慕い慕われ、誰よりも幸せになるでありんす。
南方先生の手で生まれ変わらせて頂いたのでありんすから。
南方先生、ほんに……ほんに……ありがとうござりんした。
「私はあなたを助けられてかったです。良かったです、野風さん」

あぁ、思い出しただけで泣ける。
雪にならなくてもいいというのは、
南方をもう諦めるという思いも込められているはずなので、
見ていてせつなかったです。

野風の乳癌の手術シーンは、皆が戦っていたので
緊張感があって良かったと思います。
そして、皆がそれぞれの役割で戦った末に、
手術の成功という分かりやすい結果を得られて何よりです。

野風が、女郎時代に得た知識を生かそうとして
私塾を開こうとしていたのも良かったなぁ。
あの時代なら、江戸の町に限定すれば
識字率はそこそこありますし、
ひとたび評判になれば、人が押し寄せるはずなので、
軌道に乗るまでが大変でしょうけれど、頑張ってほしいです。



あぁ、やはりこうして書いていると、
タイムスリップの問題もそうですが
皆のその後も気になります。
“国の為 道の為”という額を掲げた南方ですが
これまで通り、そう簡単に上手くいくだけではないので、
いくら人の為の医療を行なうだけでも
相応の苦労も強いられるのでしょうが、
きっと、“神は乗り越えられる試練しか与えない”の言葉を胸に、
精一杯の努力をするのでしょうね。

続きが早く見たいです。
そしてその時には、きちんと、お話に決着をつけてほしいです。



更に追記。
やっぱり、野風と別れた後の映像が、色々と惜しいです。
あらゆる謎に決着をつけない以上、
ああやって印象的な映像を流してまとめるしかなかったのでしょうが
腑に落ちないのがもどかしさに変わります。
ただ、南方が助けた人物達が相変わらず暮らす江戸の町において、
彼が違和感なく溶け込んでいる映像は
説得力があって良かったと思います。
リアルタイムでこの映像を見た時は
「あぁ、終わる。絶対に投げっぱなしで終わる」と
この点ばかり気にしていたので
あまり情感に浸れませんでしたが、
そういう余計な事を考えずに見ると、
とても素敵な映像だなぁと思えました。
でも、これ、逆に言えば、
現場のスタッフがいくら素晴らしい映像を撮影し、
スタジオで編集して仕上げても
他の事で台なしになっているいい証拠ですよね。
本当、勿体なかったです。

それと、上記で触れるのを忘れていたので
末筆ながら書きますが、
このJINというドラマで、私が特に“買い”だと思ったのは
・内野聖陽さんの坂本竜馬
・紋付袴姿の小出恵介さん
・提供を読まれた遠藤憲一さん
です。

最初のは、もう説明は不要だと思います。
私も、以前の回の感想記事で多々触れてきました。
「〜じゃき」とか「〜ぜよ」とか
内野さんの流暢な土佐弁を聞くだけで、興奮しました。
今回、この竜馬役で大成功を収めた事によって、
彼には、「坂本竜馬を演じた役者といえば」
……という冠がついたと思います。

二番目は、咲さんの兄・橘恭太郎役をされていた方です。
恭太郎自身が引け目を感じていたように、
今回は地味な役所でしたが、
小出さんのお侍さん姿は、物凄く格好良かったです。
立ち姿が素敵で素敵で、いつも惚れ惚れとしていました。
お武家さんの品の良さがとてもよく出ていたと思います。
もし、これからNHKの時代劇ドラマで揉まれたら、
将来、絶対に化けますよ。

三番目は、番組冒頭
(でもないかな。開始8〜10分ぐらい?)で流れる
タイトル後の番組提供(スポンサー)コールです。
以前の感想でも少し触れましたが、
とても素敵なお声でした。
ぶっちゃけ、提供を聞きたい・聞いていて心地良いと思ったのは
これが初めてです。
それぐらい良かったです。


それと、今、ウィキペディアを見ていて気付いたのですが、
所作指導で、藤間蘭黄(らんこう)さんが
関わってらしたんですね。
私、蘭黄さんの踊りが好きで、
彼が国立で演じられる時はよく見ていたので
嬉しかったです。





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2009-12-21 23:51  nice!(2)  コメント(4) 
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コメント 4

らっちぇ

面白いドラマだっただけに最後の投げっぱなしはがくっときましたねー

自分の感想なんですがあの振る舞いは竜馬は未来にいったんだと思います。仁先生が「江戸の漁師にですか?」ってきいたときの竜馬の真顔とかいろんな言動がそうなんじゃないかなーって。
みんなに言っても信じてもらえない&対して長い時間いなかったのであんまり言うこともない、から言わなかったのではないのかと。

たぶんTBSだからちょっとしたら映画化して「仁~時空を超えた愛の物語」とか寒くてダサイサブタイトルをつける予感

あと今回のドラマ好きだったら仁で竜馬役だった内野聖陽さんと野風役だった中谷美紀さんが夫婦役で出てる時代映画の「あかね色のそら」おすすめですよ!
by らっちぇ (2009-12-21 17:07) 

さくら

■らっちぇ様
こんにちは。コメントありがとうございます。
仰る通り、南方に問い詰められた時の龍馬は
ちょっとおかしかったですものね。
もし続編が作られるのなら
(制作が決定したとの言葉を週刊紙の見出しで見ましたが)、
その部分もちゃんと描いてほしいなぁと思っています。

お勧め映画の情報もありがとうございます!
近隣のレンタル屋さんでは見つけられなかったので、
ちょっと遠方に行った時でも探してみます。
by さくら (2010-01-10 20:17) 

進藤

お初にお目にかかります。録画しておいた仁の最終回を今日見終えて、「うぉぉぃ!?」と叫んだ一人ですw
私も1話にて手術された人物は竜馬であり、崖から落ち頭を怪我し、未来の南方に「しゅじゅちゅ」をされたと考えました。
理由としては、襲われる前に気付きそうになった点と、戻ってきてからの立ち振る舞いです。いつもの見渡しの良い崖上で「10年100年後の~」のくだりをしゃべりながら悟ったように「また明日」…
竜馬が南方をこの時代に引きずり込んだ張本人であるという後ろめたさも感じたんでは無いかというふうにも取れました。

さくらさんも酷評していたように、確かに謎を残しすぎての終わり方だったので、すっきりしない感は否めませんでしたが、元来のドラマ、アニメはそういうものです。物語はあくまで「想像上の空想の世界」であり、こうやって見えぬ先のことを語るのが、終わってからの醍醐味でもあります。ある事無い事を「あーでもない、こーでもない、あ、そうか!」とねw
逆に言ってしまえばここまで想像できるシナリオ構成を誉めてもいいかもしれないとも思えます。
私の意見は少数派だろうとは思いますが、それも想像し倒して、そして続編が出たときに「あ、こうだったのか」って納得するのも楽しみの一つだと思って待ちましょう♪
by 進藤 (2010-01-10 22:54) 

さくら

■進藤さま
初めまして、コメントありがとうございます。

謎を解決させない終わり方につきましては、
些末な事なら敢えて描かないのもアリでしょうが
やはり、主軸の内容で
しかもあそこまで煽っておいて未消化というのは
(ドラマのCMでは
「タイムスリップの謎は〜」という
テロップまで出していましたので)
視聴者に対して失礼だという思いは
私の中では変わっていません。

おそらく、この点に関して制作側は
非難を多々浴びせられたでしょうから
真藤さまのように考える方もいらっしゃるなら
嬉しいでしょうね。
by さくら (2010-01-26 00:19) 

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