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感想:小説「ワセダ三畳青春記」高野秀行*ネタバレあり [アニメ・ゲーム・漫画・小説]

図書館で借りた本がとても面白かったので、
ご紹介も兼ねて、感想を記します。
高野秀行氏のエッセイ小説「ワセダ三畳青春記」です。
01.jpg

マイミクさんが「面白い」と挙げていらしたので、
試しに読んでみたら、私も最後まで楽しく読めました。
以下、ネタバレあり。


────

読みやすい文章だったので、
するする〜と最後まで気楽に読めました。
そして、何より、
この本を読んでいると、
見た事がないアパートなり住人さんなりの絵が
なんとなく見えてくる気がするのが凄いです。
文章を読む=映像に繋がるって、
言葉にすると、とても簡単な事ですが、
そういう文章を書くという事は、とても難しいので……。


こちらのお話は
早稲田大学正門から徒歩五分の距離にある、
とても古い木造アパート“野々村荘”で起きたあれこれが
主人公である筆者・高野さんの目線で描かれています。
高野さんは、早稲田の学生でありながら
大学にはろくに行かず、
突然、地方(主に外国)に行ったり、
日本に居れば居たで、
失礼ながら、ろくな事をしてなかったりするのですが
それがもう魅力的な日々なんです。

なにせ、野々村荘には部屋番号が無く、
(大家のおばちゃんも、
野々村荘に何部屋あるかが分かっていない)
奥の部屋なら「〜野々村荘奥」で郵便が届くという始末。
また、基本の三畳部屋なら家賃が月一万二千円で、
リッチな四畳半の部屋でも二万二千という安さだったそうです。


私が特に好きなのは
「プールへ行こう!」と「三味線修行」です。
前者は、きちんとオチがついているので
まるで創作のようですが、
その疑わしさを引っ括めて面白いです。
大会で「河童団」とアナウンスされた際の文章には
思わず吹き出してしまいました。
後者は、
読んでいて、私も三味線を弾きたくなりましたし、
また、野々村荘から漏れてくる高野さんの音を
聞きたかったなぁと思いました。

好きな登場人物は、ダントツで、
大家さんの“おばちゃん”です。
凄く素敵な方ですよね。

他、嗅ぎたくはないけれど、
“守銭奴”さんの作る煮物の臭さには興味を持ちましたし、
ドラッグ研究の章では、このご時世ですので、
さすがに「おいおい」と思いました。
良い事も悪い事も、楽しい事もつまらない事も、
日々の生活の全てが私小説のネタのようで、
本当に面白かったです。
もし「同じ体験をしてみろ」と言われたら
私は絶対に遠慮をしますが、
あくまで他人事として、この生活を垣間見るのは楽しそうだと
心の底から思います。
上記のように、文章を読んでいるだけで
その生活ぶりが
映像なり絵なりでありありと思い浮かべられるので、
いっそ実写化しても良い本です。

以前、テレビで、
寮もしくはこの野々村荘のような下宿先から
東大に通う学生の生活の特集番組が放送されていて、
私もたまたま見ました。
同条件の学生さんの全てがそうではないのでしょうが、
極端な人は、皆、似たり寄ったりなのかもしれませんね。
真似したくはないですが、とても羨ましいです。


仕様としては、内容が細かく章分けされているので
(おまけに、こちらは文庫本なので)
通勤通学で空いた時間に読むにはもってこいの本だと思います。
トイレを読書コーナー化している人にも、是非お勧めです。
ちょっと気が向いた時に、短時間で楽しいお話を読めます。
私は、今回は図書館で借りたので不可能ですが、
自分用にこちらの本を買ったら、お風呂で読む本にするつもりです。




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2009-11-19 02:44  nice!(1)  コメント(0) 
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