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感想:ドラマ「相棒 Season8」第2話 さよなら、バードランド*ネタバレあり [テレビドラマ感想]

テレビドラマ「相棒 Season8」の感想です。
今回は第2話「さよなら、バードランド」です。

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  • メディア: DVD

下記にはネタバレを含みます。


前回の第1話「カナリアの娘」の感想はこちら。
http://himezakura.blog.so-net.ne.jp/2009-10-14-3

各話の感想記事のURLは
他作品と合わせてこちらでまとめています。
http://himezakura.blog.so-net.ne.jp/drama200910



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タイトルに何となく覚えがある
(どこかで聞いた記憶がある)と思ったら、
こちらは、ビル・クロウ著/村上春樹訳の本
「さよなら、バードランド…あるジャズ・ミュージシャンの回想」のタイトルから
取られたんですね。
今回は、犯人を含む事件の主要関係者がジャズを好み、
かつては一緒にバンドを組んでいたという過去がありましたので
その点ではぴったりだったと思います。



ピアノ演奏の音がきっかけで、被害者の一人が亡くなっている
+その曲が、かつて行なったライブのクロージング曲(最後の締め)だった
……と、主題のジャズがちゃんと関わっていたのは良かったと思います。
杉下右京さんの、ミョーに詳しすぎるジャズの蘊蓄も聞けましたし。

でも、二人目の被害者に対する肝心の殺害方法が、
真犯人が持つ必死さの割に、不確定要素が強過ぎました。
今回の真犯人には、“愛しい人の命を守る”という強い目的があります。
自分が失敗すれば、その愛しい人に危険が及ぶのは明白です。
だから真犯人は、何としても被害者を殺さなくてはいけない状況なのに、
“被害者はこう動くはず”という予測を元にして
今回の殺害計画を立てていました。
これは、慎重さに欠けます。
幸いにも(と言ってしまうと語弊がありますが)
真犯人の予想は的確に当たって、
二人目の被害者は、真犯人の望み通りに事故死しました。
でも、一つならともかく、
複数において“そうならなかった偶然”が起こらなかったのは
奇跡かもしれません。



見ていて思ったんですが、今回はなんだか
漫画とアニメで有名な作品「名探偵コナン」を
実写で見ているような気分でした。
私はコナンを漫画で読んでいるのですが
(といっても単行本派で、最近は全然追いついてませんが)
今回のような殺害方法は
コナンでよく出てくるような手口だなと思いました。
実際に出てきたどうかは知りません。
計画の雰囲気が、私にはコナンっぽく感じられたというだけです。

こう言っては失礼ですが、
コナンは、小さくなる薬云々を除くとしても、
殺害方法やトリックなどで、お話に無理が出る事が多いです。
でも、あの作品は、
“読者さえそれなりに納得ができる内容なら、無理があってもいい”という、
言わばフィクションを前提にしたお話です。
でも、こちらの「相棒」は、
割とリアリティを重視している刑事ものです。
一昨日始まったフジテレビ月9の「東京DOGS」が、
かつての「あぶない刑事(デカ)」を思わせるような
銃撃戦をメインとした夢物語の刑事ドラマなら、
「相棒」は、地に足が着いた、現実味を大事にした作品です。
勿論、回によっては、虚構の部分が多すぎる場合もありますが
犯人の動機も犯行の手口も
「こういう事はあるかもしれないな」と思えるのが基本です。
なので、もっと着実な方法(偶然に頼らない)を、
計画に入れてほしかったです。



最後、右京さんが神戸警部補を相手にして
真犯人について語る際に、
「(真犯人は)愛と利益が両立しない事を知っている」のを理由として挙げて、
真犯人が聡明であると評しましたが、
それなら、殺人計画に不確定さが強いのはおかしいと
余計に思えました。

いや……もし、真犯人が被害者を殺す事に迷いがあったのなら、
計画に不確定要素が強くても良かったんですよ。
散々「殺したい。でもやっぱり殺せない」と迷った末に、
殺人計画にわざとそういう不確定要素を組み込んで、後は天に任せる
──それで被害者が死んだら良し。
もし死ななくても、これは天の采配だから
被害者を殺すのはもう諦めるという感じで。
こちらは、犯人が優柔不断な性格だったり、
過剰に追い詰められていない状況だったりする際に
(できれば殺したいけれど、絶対に殺さなければと思うほどではない)
起こる話です。
これならば、犯人は被害者に対して
「アイツは運が悪かったんだ」と思う事ができるので
自分が殺したという罪悪感も比較的薄くなります。

でも今回のお話は、上記の通り、
真犯人には被害者に対する明確な殺意があります。
失敗するわけにはいかないという、危機的状況もあります。
交換殺人でお互いにアリバイを作るというだけでなく、
そこに別の殺人も組み込んだ事は、構成としては良かったですし、
面白かったですが、
肝心の部分で「甘いなぁ」と思わずにはいられませんでした。

そして、この「相棒」の魅力は、
犯人(と、犯人と思わしき関係者)を追い詰めていく
右京さんの会話なのですが、
今回は、犯人が最後まで蚊帳の外っぽかったのが
ちょっと残念でした。
尺が無かったのかもしれませんが、
真犯人と右京さんの会話をもっと見たかったです。



さて、今回から通常の1時間放送なので、
まだそれほど親しくない右京さんと神戸警部補のやり取りも
楽しみの一つでしたが、
こちらは予想通り、面白かったです。
冒頭の、証拠品の返却時に起こった神戸警部補の失敗を
右京さんがねちねちと責めるのには笑ってしまいました。
また、神戸警部補は、巷で流行りの
“仕事はできるけどヘタレ”キャラの道を
邁進するつもりなんでしょうか。
温泉で関係者に聞き込みをしている最中に、のぼせてしまって、
部屋で横になって休んでいる姿は、大変滑稽でした。
また、神戸警部補が変に負けず嫌いなのも良いですね!

今は、なんといっても神戸警部補のお披露目というか、
彼のキャラクター性を固めている最中のようで、
まるで単語の羅列のように、彼の特性が印象深く描かれています。
前回やその前のシーズン7最終話のスペシャルでもあった
「死体に弱い」「車の運転が荒い」といった事もそうです。
暫くは、こういう事がお約束として作品中に出てくるんでしょうね。
楽しみです。

そして、相棒のスペシャル(2時間以上の回)が
どうしてもグダグダになってしまうのを踏まえると、
こちらはやっぱり1時間の方がいいなぁと思ってしまいます。
元が2時間ドラマなので、
私がこういうふうに言うのは本末転倒なのですが……。
でも私は、ギュッとお話が濃縮されて
コンパクトにまとめられている方が好きなので、
通常放送の方が、楽しんで見られる事が多いです。



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感想は以上です。
ここまでお読み下さり、ありがとうございました。


続きの第3話「ミス・グリーンの秘密」の感想も書きました。
http://himezakura.blog.so-net.ne.jp/2009-10-28-6


2009-10-22 01:55  nice!(0)  コメント(0) 
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