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感想:映画「BALLAD 名もなき恋のうた」*ネタバレあり [映画・舞台]

(9/19)
原案のアニメ版を見た上での感想を末尾に追記しました


本日公開となりました邦画
「BALLAD(バラッド) 名もなき恋のうた」の感想です。
私はこちらの原案となっているアニメ映画
「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦」を見ていません。
*実写版視聴後にテレビで放送されましたので、
アニメ版「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ戦国大合戦」も見ました。
感想はこちらです。

http://himezakura.blog.so-net.ne.jp/2009-09-19-13

以下の記述にはネタバレを含みます。


────

クレしんのアニメ映画については、
こちらの「戦国大合戦」の出来が素晴らしいとは聞いていたものの、
タイミングが合わず、
テレビ放映された時も見ていませんでした。
(「大人帝国」は一度だけ見たのですが……)

こういう作品の場合、どうあっても原作を越える事はないので
逆に、原作を知らない状態でリメイク版を先に見るのは
作品に対して正しく感想を述べようとする時には幸運かもしれない
(原作を知らない分、余計な比較をせずに済む)と前向きに考えて
見てきました。



主演がSMAPの草なぎ君、ヒロインが新垣結衣さんという事で、
そつなく
──でも良いとも言えない感じで出来上がっているのかと思いきや、
想像していたよりは良かったです。
はい、正直なところ、もっと悪いかと思っていました。

原案の野原しんのすけ一家に当たる現代の川上家よりも、
戦国時代の姫と武士の恋愛に焦点が当てられている時点で、
おそらく原案のクレしん映画とは大きな差があると思います。
なので、この作品を恋愛映画として見る分には
「そんなに悪くなかった」と評価しても良いと思います。
ただ、この作品には、どうあっても
「クレしん映画が原案」という冠がつきまといますからね……。
川上家の活躍を期待して、この作品を見てしまうと
きっと物足りないと思う&強い不満を抱くと思います。

要所で笑えますし、
泣けるシーンもあるのですが……
監督さんがわざと狙ってやったのか、
それとも、たまたまこうなってしまったのかは分かりませんが、
もっと余韻が欲しいのに、
とっとと次のシーンに行ってしまう部分が数カ所ありました。
いきなりお話に置いていかれたせいで
「ちょww もっと泣かせてよww」と本気で慌てました。
時間的に難しかったのかもしれませんが
こういう所で尺をちゃんと取ってくれたら、
もっと情緒たっぷりな作品になったと思えるので
とても残念です。



合戦シーンは、この手の邦画にしては大変良かったと思います。
私は、今期のNHK大河ドラマ「天地人」を見ていて、
その作品では戦闘シーンがほとんど描かれていない事に
強い不満を持っていましたので、
今回、久し振りに本格的な戦を大きなスクリーンで観られて
嬉しかったです。
迫力もかなりありましたので、
恋愛メインの時代劇にしては、なかなか良かったと思います。
でも、人の少なさが気になりました。
兵力の差が大き過ぎます。
差があった方が、エンタメとしては面白いですが、
ちょっと無謀だろうと
冷静にツッコミを入れずにはいられませんでした。

ただ、草なぎ君はもっと殺陣を練習した方が良いと思います。
馬には上手く乗れていましたが
得物の扱いにはちょっと苦しい部分があったように見えました。
春日の国一番の武将と言われている設定ですが
そう見えなかったのもマイナスです。
また、それ以上に酷かったのが、新垣さんの所作です。
「大河ドラマに出たばかりの若手女優さんは
いつもこんな感じだよなぁ」と
映画を観ていて思ってしまいました。
新垣さんは、
今はアイドル女優さんとして現代劇を主にやっているようですが
こうして時代劇のお仕事を受ける事もあるかと思いますので
今のうちに何とかした方が良いのではないかと、本気で勧めます。
日本舞踊とか習ったらいいのに……。

それと、新垣さんが演じられた廉姫は
大変かわいらしかったですが、
一国の姫というより豪族の娘という感じがしました。
小国という設定なので
親しみやすさが出ているのも当然なのでしょうが、
身分差の恋愛が問題になっている以上、
姫のなにげない仕種からも
そういう差を感じられたら良いなと思いました。



又兵衛の死には、やはり泣きました。
途中で「生き残れる?」とも思えたので、
あぁ、やっぱり又兵衛は撃たれたか……と
残念な気持ちになりましたが、
これで当然だよなと納得もできました。
結局、川上一家の出現によって歴史は一時的にねじ曲げられても
本質的なものは変わらないって事ですよね。
彼が亡くなった事で、きれいにまとめられた感はありますが、
生きていたら逆に萎えたかもしれないので
これで良かったと思います。



こちらの作品を観たら、
原案であるクレしんの映画も観たくなりました!
やはり、同じように又兵衛は死んじゃうのでしょうか。

映画公開から暫く経ったら、
テレビ朝日の深夜あたりで
原案の「戦国大合戦」を放映してくれないかなと
秘かに希望します。



映画のお話は、
前宣伝で流れていた映像から察せられる内容と同じなので、
あれで興味をそそられたら観ても良いと思います。
原案のクレしん映画を愛している方は
他のご感想・ご批評を読まれてから
観るかどうかを判断された方が良いかもしれません。

良い映画と絶賛する事はできませんが、
そんなに悪くもなかった──
私がこの映画を言葉で表わすなら、こう言います。



(9/19:追記)
本日、テレビ朝日にて原案のアニメ
「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ戦国大合戦」を視聴しましたので
それを踏まえた上での感想を追記します。


実写版の戦闘シーンは、よくアニメを再現したと思います。
アニメを見ていて「これを実写で見たいな」と思う事が
頑張って描かれていました。

──が、人物はというと、
野原しんのすけ一家をメインとしたアニメよりも
やはり弱かったですね。
アニメ版の場合は、しんちゃんが言うからこそ重い台詞が幾つもあって、
それが実写版で全く生きてないのが勿体ないです。
しんちゃんをそのまま実写にするのは、もっと難しい事だけれど
この辺は何とかして頂きたかったなと思いました。

廉姫は、アニメ版の方が新垣さんより大人びていて、印象が違いました。
私はアニメ版の方が好きです。
実写版の新垣さんだと、可憐さばかりが先行していて、
アニメの“しっかり者の姫”の空気が薄れているように思います。

そして、これが実写版に対する一番の不満なのですが、
なぜ「きんちょう(金打)」が無いのかが分かりません!!!
というか、実写版を見た時は
真一君が脇差を欲しがる理由が分からなくて、
そんなに深い意味が無いように感じられたんですよね。
アニメ版を見たら、しんちゃんが脇差を欲しがるのは当然で、
「なんでこのエピソードがないんだ」と
本気で怒ってしまいそうでした。

アニメ版になかった携帯電話のくだりは
良かったと思います。
しかし一部は、戦国時代の人を映したというより、
“戦国時代の格好をした人(コスプレ)”を撮ったと
思えてしまうシーンもあって、ちょっと残念でした。


2009-09-19 21:33  nice!(3)  コメント(2) 
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コメント 2

佐倉

初めましてー、検索にhitしたので閲覧させていただきました^^
金打が何故カットされているかは、パンフレットに書いてありましたよ…!
わたしも金打の場面が大好きだったので、実写版を見たときにどうしてカットされちゃったのかなあと思いました><パンフレットには他にも監督の考えが書いてあるので、見てみるといいかもしれません^^^^
わたしはアニメを先に見ていたので、見ていなかった方の感想はすごく新鮮でしたー!
by 佐倉 (2009-09-24 11:16) 

さくら

■佐倉さま
初めまして、こんにちは。
コメントをお寄せ下さり、また、
パンフレットの記述についても教えて下さり、
ありがとうございます。

パンフレットは買い求めなかった為、未読なのですが、
監督さんのインタビューは、
ネットサーフをしている時に、偶然、記事を見つけましたので
金打を何故省いたかについては、読んだ事があります。
ただ、私には、
その記事での発言が、パンフレットでの発言と同じかどうかは
分からないのですが……。

仮に、その二つが同じであると踏まえますと、
そちらを読んでも、私は
金打の描写を外すべきではなかったと考えています。
それなら真一君が脇差を得るシーンも削るべきだとも、思いました。

ただ、既にアニメで絶賛されている作品を実写化するのは
本当に大変だと、
私にも察する事ができますので
よくあそこまで頑張ったなぁという思いは、
金打のシーンの有無にかかわらず、あります。
by さくら (2009-09-26 21:14) 

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