SSブログ

感想:小説「タイタニア」1〜3巻 田中芳樹*ネタバレあり [アニメ・ゲーム・漫画・小説]

田中芳樹先生の小説「タイタニア」1〜3巻の感想です。
以前、こちらの記事にも書きましたが
http://himezakura.blog.so-net.ne.jp/2009-07-20-2
徳間ノベルズ版を図書館から借りてきました。


以下の感想にはネタバレを含みます。
特に3巻は、アニメ版の最終回後の話となるようですので
未読の方は閲覧にご注意下さい。

アニメ版の感想記事については、他の作品も含めて
URLを下記ページにまとめています。
http://himezakura.blog.so-net.ne.jp/2009-06-01-9


────

この「タイタニア」という作品については、
アニメのDVDで6話(シラクサ星域会戦)まで見た
→地上派のアニメを現在進行形で見ている
(次回が「ラドモーズ事件」です)
→原作が気になったので、小説を図書館で借りてみた
……という関わり方をしています。
よって、この感想記事では
小説とアニメを比較したり、
アニメについて感想を述べる部分もあります。
こちらを念頭に置かれた上で以下をお読み頂けると
有難いです。



まずは、最後まで一通り読み終えて……
「あぁ、本当に、面白いところで終わっている」と思い、
がっくりとしました。
ウィキペディアで基礎知識を入れていた上で
ネットの感想も、ネタバレされない程度に幾つか読んでいたのですが、
これは私が想像していた以上でした。

ここから!いよいよ!話が始まる
──というシーンじゃないですか orz
田中先生が、この「タイタニア」を
どの程度の長さで書くつもりでいたのかは分かりませんが、
アリアバートとジュスランがタッグを組んでイドリスと反するのは、
中盤の山と言っても良いと思います。
その後のAJ二人を長く書くご予定だったなら、
序盤としての認識を持っても良かったかもしれません……。

ファン・ヒューリックたち反タイタニア派が
ウラニボルグに上がった後の展開も、とても気になります。
ぶっちゃけ、アリアバートとジュスランの離反は、
今後のタイタニアの為にアジュマーンが仕組んだ
策の内の一つですよね。
アジュマーンにとってファン・ヒューリックは
これ以上ない好敵手役の駒なので、
彼を上手く使ってタイタニアを再興させようとしているのは
目に見えています。
ファン・ヒューリックも莫迦じゃないので、
これまでのように、利用されかけるのを逆手に取って
上手くやりそうですが、
それこそ、ジュスランと手を組むと面白かったはずなのに……
と思います。
ジュスランは、やはり、
自身がタイタニアであるのを痛感しているのに
タイタニアを縮小させる考えに至ったのが面白いです。
この点↑は、きっとアリアバートと意見が異なると思うので
(アリアバートは、タイタニアの縮小を願ってないと思います)
一時的でも、彼ら二人が袂を分かつ展開があっても
良かったのではないかと思います。
最後の敵(大ボス)は、どう考えてもアジュマーンなので、
最終的に二人がAJ連合として再び手を組んで
アジュマーンを倒せば良かったのに……。

あぁ、こうやって書いていても
続きが見込めないんですから、意味がないんですよね……。
この徳間ノベルズ版の第三巻の初版が出たのが、1991年。
それから18年も経ってるなんて orz
この作品がアニメ化された事に刺激を受けて、
田中芳樹先生が続きを執筆する気になったと
ネットの方々では書かれていますが、
あまり期待せずに、
実際に発売が決定されてから楽しみにすることにします。



キャラクターについては、
アニメを見ている分、基礎的な知識があったので
分かりやすかったです。
逆に、アニメを見ていなかったら
主要四公爵でも、誰が誰だか分からなかったと思います。
実際、アニメを見ていても、外見の区別はつくものの、
キャラの個性はDVDを見ただけでは掴めませんでしたし……。
(ちゃんと区別がつくようになったのは
地上派でアニメをリアルタイムに見るようになってからです)

戦いについても、アニメを見ていた事が生きていました。
戦闘中の各軍の陣形や、戦艦の外見・内装を
アニメで事前に見ていたのは、本当に大きかったです。
どんなに小説の描写が上手くて分かりやすくても、
一瞬で視角で理解できてしまう絵には
こういう点では負けてしまうと思います。
というか、これこそが、絵(アニメ)の特性ですよね。
なので私は、こまごまとした描写で戸惑うことはなく、
小説を読みながらアニメのそのシーンを思い返すという事を
常に行なっていました。

ただ、アニメは
良くも悪くも原作を都合良く編集している作品なので、
省かれている部分が小説できっちりと描かれていたのは
嬉しかったです。
特に一巻の序盤。帝国の宰相が撃ち殺される経緯です。
アニメでは、ファン・ヒューリックのデビュー戦であり、
タイタニアに変革が齎されるきっかけでもある
記念すべき戦闘“ケルベロスの戦い”が丁寧に描かれています。
その一方で、宰相射殺事件は、
ケルベロスの戦いと平行して起こった事件として
扱いが小さくなっています。
これは、アリアバートを除く三公爵の顔見せと、
タイタニア一族が世間でどう思われているのかを
視聴者に見せつける事に重きが置かれていて
宰相が殺された経緯はあまり重要視されてなかったせいだと思います。

このように、小説とアニメでお互いに相手を補足しているので、
アニメを見ていたお陰で小説が読みやすくなり、
小説を読んだお陰でアニメへの理解度が増したと思います。
私にとっては、小説とアニメ
──両方の作品に触れられた事が、吉と出ました。

キャラクターの絵は、すみませんが、
一部の例外を除いて、アニメの方が総じて好きです。
特にザーリッシュは
原作の挿絵ではただのオジサンとしか思えませんでした。
初めて見た瞬間に、
「え……これがザーリッシュ?」と軽くショックを受けました。

一部の例外は、リディア姫です。
アニメでの我の強い姫が苦手だったので
小説を読んで「原作がこうで良かった」と本気で思いました。
アニメの描写が原作通りだったら、本当に嫌でした。
イラストも、三巻の表紙にいる彼女は
赤いドレスと髪飾りが似合っていて、とてもかわいいです。
十歳にしては子供過ぎますが
(六〜七歳ぐらいの年齢に思います)
キャラデザはこちらを元にしてくれれば良かったのにと
本気で惜しみました。



ザーリッシュの死については、ウィキペディアで見ていたので
知識として先に知っていたものの、
作中でもそのような文章があった通り、
もっとまともな……派手な死に方をすると思っており、
びっくりしました。
ザーリッシュがファン・ヒューリックに討たれる運命が
絶対に変わらないとしても、
普通、辺境の地上でなく、乗っていた戦艦を爆破されるとかですよね。
逆に、こういう淋しい死に方をさせられた事が
作者からザーリッシュに与えられた役所なんだなぁと思いました。
ザーリッシュが嫌っていた弟のアルセス伯の死を機に
彼の運命が少しずつ変わっていった事も、
大事にしていた母親テリーザが、兄弟の死後、更に狂っていくのも
皮肉な話です。



ジュスランにしても、アリアバートにしても、イドリスにしても、
三巻に入ると、それぞれ違った場で窮地に追い込まれるからか、
本人ですら知らなかったらしい資質を見せていて、
本当に面白かったです。
特に三巻終盤は、上記にも書きましたが
「これらがどうなるのかは、分からないんだなぁ」と思いながら
淋しく読みました。

ややリディア姫を持ち上げ過ぎるような気もしましたが
主要キャラクターについては、魅力的に書かれていると思います。
戦闘が主だった銀英伝と比べると、
キャラクターが部屋で陰謀を張り巡らせるシーンが多い分、
特にアニメでは地味に感じられるかもしれませんが
小説を読む分には気になりませんでした。

だから、続きを……!と、望まずにはいられません。
田中先生が完結させるのは難しいとしても、
私が生きている間に、一巻でも多く続きを出して下されば良いなと
願いました。





────
ランキングに参加しています。
記事がお気に召しましたらバナーを押してやって下さい。
*別窓でランキングサイトが開きます
にほんブログ村


2009-08-03 14:12  nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証: 下の画像に表示されている文字を入力してください。