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おおきく振りかぶって感想:月刊アフタヌーン2009年6月号感想*ネタバレあり [おお振り:アフタヌーン感想]

月刊アフタヌーンで連載中の高校野球漫画
「おおきく振りかぶって」の感想です。
今月号(2009年6月号)は勿論のこと、
単行本未収録分のネタバレがあります。

今回は第68回「準決勝2」です。


本誌感想はカテゴリでまとめてあります。
他の号の感想をご覧になる場合はこちらをどうぞ。
http://himezakura.blog.so-net.ne.jp/archive/c338259-1


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前回に引き続き、
武蔵野第一対ARCによる準決勝の試合が描かれています。
西浦も出ていますが、スタンドからの観戦の為、
説明要員としての(主に阿部と三橋)出番になっています。



榛名が本気で投げられない事から
町田さんに代わって
秋丸君がキャッチャーマスクを被りました。
練習では散々組んでいるとはいえ
高校に入ってからの実戦は未経験で、
強豪校ARCを相手にどこまで誤魔化せるかと思いましたが
なかなかいい感じですね!
ただ、これはいつまでも続かないでしょうが……。
ちゃんと数えてはいないので、あくまで印象ですが、
榛名、かなりの球数を投げさせられてますよね。

さすが、昔からバッテリーを組んでいるだけあって
サインを交わさずとも
榛名の全力投球をしっかり捕れる秋丸君はさすがです。
投球フォームの僅かな違いから球種を読み取るなんて、
秋丸君以外にはできないです!!!

ただ……そんなに凄い秋丸君には
“榛名と組んできた事で得られた財産”しか
無さそうなのが、惜しいです。
榛名と組んだ時、秋丸君の能力が最大限に発揮されるとはいえ、
選手としての能力を総合して比較するなら
町田さんの方が断然上です。
秋丸君が他の投手と組んだ時も
同じようにサイン無しで相手の良さを引き出せるのなら
大変素晴らしいですが、残念ながら違うと思います。
何より、肩が弱いのと、
打撃が全然駄目らしいのが……ちょっと……。
話にならないレベルらしいのが、露呈しています。
これじゃ、言葉は悪いですが、
榛名の球を捕れるだけの捕手です。
秋丸君の初打席は、本当に駄目だった……。
高校から野球を始めた西広君(西浦)と
どっこいどっこいのレベル or かろうじて良いぐらい に
見えました。



榛名が、呑気そうな秋丸君に対して
「あいつがもっと真剣になってくれれば
俺の野球人生も変わってた」云々と
内心でぼやくシーンがありました。
私は、秋丸君が榛名のように
高校入学と同時に即一軍入りできる力を持てていれば
榛名も他の捕手を相手に遠慮して投げる事がなくなり、
もっと前から自分たちバッテリーが世間から注目されていた
──という未来を、
榛名が描いていたとらしいと受け取りました。
何人もベンチ入りできるほど枠が広い投手に対して、
捕手は基本的に多くても二名までなので
それを秋丸君に望むのはなかなか難しい上に、
秋丸君は決して手を抜いているわけではないらしいのを考えると
(投打に恵まれた榛名には
必死に頑張っている秋丸ですら緩く思えてしまう)
ちょっと苛立ちます。
また、中学生時代の阿部の苦しみを目の当たりにしてきた
西浦贔屓の一読者としては、
「おまえがそれを言うな!」と
アフタ本誌で榛名の頭を軽く叩きたくなりました。

秋丸君は秋丸君で
昔からとても頑張っていたと思うんです。
漫画では特に描かれていませんが、
あの温厚そうな秋丸君だって人間ですから、
榛名の凄さを身をもって実感しているからこそ、
当初からチームの柱として活躍する榛名と、
控えの捕手にずっと甘んじている自分を比較して
「俺は駄目だな」とか「何やってんだ」とか
密かに落ち込んだ夜だって何度もあったと思うんです。
それでも、より良い未来を手にする為には練習しかないと思って
必死に頑張ってきたはずなんです。
ただ、努力は成果として必ずしも表れないで……。
この辺は、秋丸君側の描写がまだ充分でないので
今後に期待するしかないのですが
それまで彼を甘く見ていた榛名が
ハッと思い直すシーンが欲しいなと
望んでいます。



それにしても、武蔵野第一のあの雰囲気はどうなんでしょう。
ほのぼのを超えて、だらだらしてる感じがしました。
どうしても勝ちたいという貪欲な気持ちが見えたのは、
残念ながら榛名だけです。
変に緊張するよりも、
町田先輩のように「キズナ」とか言って楽しく和んでいる方が
良いのかもしれませんが
怖い顔で真面目に野球をやっているARCと比較すると
(武蔵野第一が決して真面目に野球をやってないわけではないですが)
その緩さに「おいおい」と声を掛けたくなりました。
もしかすると、武蔵野第一のチームメイトからすると
榛名の気持ちだけが変に空回っているように
(彼が焦っているように)見えているのかもしれません。



そのARC。
これまでちょっとしか明かされてなかったチーム像が
今回、阿部の主観が混じってはいますが
(阿部が説明役を任されているので)
かなり良いと判明しました。
あの阿部が認めるんだから
相当良いチームだろうなとも感じられました。
また、阿部が三橋を相手にして、
問答方式で攻略法を披露したくだりは
とても面白かったし、分かりやすかったです!

これまで私は、武蔵野第一対ARCなら、
前者に勝ってほしいと望んでいましたが、
今回のそれぞれのチーム描写を見た事で、
気持ちが変わりました。
武蔵野第一ファンの方にはすみませんが、
今回はARCに勝ってほしいと思うようになりました。

ヨシ(吉田)は良い選手みたいですね。
投手に合わせてちゃんとリードを変えるとは、
当然でしょうがさすがです。
しかも、ヨシは投手をノセて
(良い気分にさせて)コントロールするタイプの捕手らしいです。
その彼に認められた春日部の高橋君も相当良いのでしょうが
前の試合でそこがちゃんと描かれてなかったのが残念です。



今回は、試合中に両方の選手があれこれと考えまくる上に
(↑モノローグが多い)
スタンドでの阿部や三橋の会話・過去回想も入るので
緊張する試合展開の割に
漫画から感じられる試合の疾走感が失われているのが
残念です。
阿部の解説や三橋との会話(三橋の勘違いやキョドりっぷりも含めて)は
確かに面白いのですが、
それもちゃんと読んでいると、
試合から気が削がれるというか、試合に集中できないです。
全体的に散漫な印象を受けます
──が、その分、文字から受けられる情報量は凄いので
ファンとしては有難くもあります。
ううん、難しい。
たとえば、三橋が思い出した
“ギシギシ荘の雨の日トーナメント”。
ここは、過去の浜ちゃんや三橋を見られましたし、
まだ明るかった三橋が積極的に自分の意見を言っているという
貴重なシーンなので、読めて嬉しかったですが、
あそこで入れる必要はなかったかもしれないと思っています。
阿部と三橋がやたらと会話を交わしているので、
今回は漫画を読んでいると、
二人の横で試合を観戦している気分を味わえるのですが……。
試合は試合、阿部たちの会話は会話、と
どちらかに集中したいと思いました。
(贅沢ですみません)

その阿部と三橋の会話でも、問題点が多々ありました。
阿部にだって、
試合に集中してしまうあまり解説を忘れる時間ぐらい、
あって当然なのに、
彼が喋らなくなったのは自分のせいだと勘違いをする三橋には
ちょっとイラッとしました。
「おいおい、どうしてそういう考えになるんだ」と
阿部のようにウメボシ(こめかみグリグリ)をやりたくなりました。
その直後、三橋が阿部の背中越しに泉に話し掛けたシーンでは
爆笑しましたけど。
阿部は大変だなぁ。

阿部が久し振りに、良い笑顔を見せてくれました。
三橋にキャッチャーが好きかと問われて
「ったりめーだろ! キャッチャーが一番かっこいーよ!」と
即答で言いきったシーンは
読者である私も嬉しかったです。
本気で阿部がキャッチャーを楽しんでやっている
(野球が大好きで大好きでたまらない)のが
よく伝わってきました。



そんな阿部が最後に放った、心の中の台詞。
「シニアの関東大会は、あいつにとってイミがなくて」
「高校の県大会はイミがあるってことなのか?」
「それとも、あいつは今、チームのために投げてるっつうのかよ…!」
が、せつないせつない。
普通に考えれば
中学シニア=良い高校に行く為・高校で台頭する為の布石
高校=甲子園行き・その後のプロ人生を狙った大事な時
なわけで、
野球をやっている以上、“中学<<<<<高校”になるのは
榛名じゃなくても当然でしょうし、
そうだろうと想像もできるのですが、
その、言わば踏台にされた中学時代の相手である阿部にとっては
良い気分はしないし、許せないですよね。
ただ、最後のモノローグから分かるように
ちょっとは大人になった榛名の変化にも
気付いている(でも、それを認めたくない)ので、
この試合を経ても、榛名を好きになれない感情が
ある程度は残ってしまうかもしれないけれど、
彼に対する阿部の評価は変わるのかなと、想像しています。



ところで、今回はシオの方言(津軽弁??)が出てきました。
分からないので、ネットで検索を掛けてみました。

「けっぱってらな」
=頑張ってるな/気合い入ってるな

「わったあずましいはんでな」
=すごく気持ち良いからな

「なもがもまぐいぐべな」
=何もかも上手くいくだろうな

「したばってあんまえふりこがねェように」
=だからって、あんまり調子に乗らないように

で、宜しいのかな。
馴れないので、自力で理解するのは無理でしたが
言葉そのものはきれいで面白いなぁと思いました。





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感想は以上です。
お読み下さり、ありがとうございました。

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続きの2009年7月号の感想も書きました。
http://himezakura.blog.so-net.ne.jp/2009-05-26

宜しければ、合わせてどうぞ。


2009-04-26 20:14  nice!(1)  コメント(0) 
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