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感想@漫画「ぼくらの」月刊IKKI2009年5月号*ネタバレあり [ぼくらの:感想]

鬼頭莫宏先生の連載漫画「ぼくらの」月刊IKKI2009年5月号感想です。

ネタバレを含みます。
単行本派の方、本誌をこれから読まれる方はご遠慮下さい。



前回(2009年4月号)の感想はこちら↓
http://himezakura.blog.so-net.ne.jp/2009-02-27


────

“殺戮”が始まってしまいました……。

具体的な死体が描かれてないのが救いなのですが
これは、描かれていたとしても同じ、もしくは
読者が想像をかき立てられる分だけ
こうして描かれない方が酷いのかもしれません。
ウシロが虐殺を行なう前に
一般市民の普通の姿(日常風景)を描いて、その後、
ジアースの攻撃によって壊れた街を描いて対比させるのは
よくあるパターンですが、
いやはやもう、胸糞悪いというか
えげつないというか……。



P163に、「じゃあいくか」という台詞と共に
ウシロの同じ顔が上下連続して描かれているコマがあります。
鬼頭先生の描き分けの問題かもしれませんが、
このウシロ、義理のお父さんである先生に
顔が似たなーと思いました。
また、この瞬間に、ウシロは色んなものをすっ飛ばして
大人になったのかもしれません。
渡っちゃいけない──というか、
普通の人は渡らない川を渡ってしまった瞬間かもしれないとも
思いました。



コエムシの「すまねぇ」との詫びが、むちゃくちゃせつないです。
あのコエムシが詫びたんですよ!!
よほど、マチの事が大きかったんだと思います。
きっと彼には様々な事があって
本来の地球でもこちらの地球でも
変に歪んでしまった性根を見せていたんでしょうが
根は素直で良い子だったのかもしれません。
(持って回った言い方が好きな皮肉屋という点は変わらないでしょうが)
そうじゃなきゃ、覚悟を決めたウシロに
本気の詫びなんて言えません。
序盤で悪態を吐いてた彼が、嘘のようです。



ウシロが苦しんでいるのに、
敵側の地球には、彼がただの殺戮者としか思えないんですよね。
“第五侵略体グール”という名前が辛いです。
でも、顔見知りでもない相手に一方的に殺される側にしてみれば
自分がそうされる理由や相手の感情に、納得なんてできないはずです。
そして、ウシロの指示でアンコのお父さんは撮影を続けたけれど、
もし本当にこの地球が勝って、この映像が公開されたとしたら、
後世の人はどう思うんでしょうか……。
ウシロの必死さを理解しようともせず
「酷い」と詰る人だって出てきそうな気がします。

ウシロがこの殺戮を続けるなら、
感情は殺して、機械的にビームを放つしかないと思うんですが
やり始めた今でさえ精神的にボロボロになっている彼を見たら、
予想通り、「もう止めてもいいよ」と声を掛けたくなりました。
まさに、殺されている側の地球も地獄ですが、
ジアースの中も地獄です。
ウシロ本人もそうですが、
往住さんやササミンも、そしてコエムシも辛いですよね。
それこそ、SFやファンタジーの世界ではよくありますが
「そうまでして、ここは守りたい世界なのか」と
自問自答してしまってもおかしくないと思います。
一度はウシロも答えを出しているけれど
ここに来て変えても良いとさえ思ってしまいます。



乗ったパイロットは戦闘終了後に死ぬというルールの時点で、
この物語に完全なハッピーエンドは無いんですが
気分的にまだ救いがあった他の子たちみたいに
(モジとかコモとかナカマとかアンコとかマキとか……
彼らは死を回避できなかった時点で、結果は全てバットエンドだけれど、
それなりに“生きた証”を最後に作れている)
ウシロも死ねるんでしょうか。
なんか、もし逃げ出した敵のパイロットを上手く狙い撃てても、
ウシロに嬉しい事なんかなくて、
敵の地球の人々を殺戮するという苦労から解放された事に対する
「やっと終わった……」との安堵しかない気がします。

これまでの鬼頭先生の描き方ですと、
仮に敵パイロットが死ぬ終わり方でこの戦闘の決着がつくならば、
彼女の発見まで長く掛かると思いきや、
ウシロはあっさりと彼女を見つけられて殺す……という展開も
あるかもしれません。
そもそも、ウシロが
“ぼくらの”の最後の一人として戦闘に臨んでいるという時点で
物語の終わりは見えているので、
あぁもうすぐこの長い話にも一つの決着がつくんだなーと
感慨深くなってしまいます。

何度も書いてますが、私はこの作品が大好きなのに
その欝展開っぷりがもう辛くて辛くて、
毎月25日が来る旅に憂鬱になって
「あぁ、買ってこなきゃ」と
本屋に行くことですら辛く思ってました。
それでも、この作品を読むのが楽しみだったのは
言うまでもありません。
やっとこの辛さから解放される時が見えて喜ばしいのに、
陰惨な展開を読んだり
その続きを気にして本気で落ち込だりする事ももうなくなるのかと思うと
一抹の淋しさはあります。
矛盾してますが、これが素直な感想です。
多分、最終回を迎えた時も変わらないと思います。



余談ですが、今月号のIKKIの表紙は辛いです。
ちょっと買いにくかった……!
青年誌だから当然と言えば当然なんですが
目のやり場に困ってしまいます。
しかも、肝心の漫画の性描写はぬるくて
寧ろ物足りない(笑)って、あり得ない。
表紙絵が一番過激──って
新規読者を得ようとする餌ですよね。





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感想は以上です。
お読み下さり、ありがとうございました。

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続きの2009年6月号の感想もかきました。
http://himezakura.blog.so-net.ne.jp/2009-04-26-1

宜しければ、合わせてどうぞ。


2009-03-25 20:27  nice!(0)  コメント(2) 
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コメント 2

コメントさん

本当に、とても丁寧な解説を毎回毎回ありがとうございます。
これからも気負うことなく、いろんな作品のレビューをお続けください。
ありがとうございます。
by コメントさん (2009-04-26 00:11) 

さくら

> コメントさん様

初めまして、こんにちは。コメントありがとうございます。

その時の自分が思った事を文字に残しておきたかったのと、
あれこれと想像する事が好きなのと、
何が好きで何がそうではないかを書いていく内に
自分ではなかなか気付けない嗜好が見えてくるのではないかとの
思いで、
だらだらと感想を書いています。

独りよがりな内容や間違ってる妄想も少なくないですし、
何より語彙が無いので
いつも単調な文の感想になってしまっているのですが、
お読みくださる方がいらして下さって、本当に嬉しいです。

こちらこそ、ありがとうございました。
by さくら (2009-04-26 14:52) 

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