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感想@漫画「ぼくらの」月刊IKKI2009年4月号*ネタバレあり [ぼくらの:感想]

鬼頭莫宏先生の連載漫画「ぼくらの」月刊IKKI2009年4月号感想です。

ネタバレを含みます。
単行本派の方、本誌をこれから読まれる方はご遠慮下さい。


前回(2009年3月号)の感想はこちら↓
http://himezakura.blog.so-net.ne.jp/2009-01-27-1




今月号は、まだ誰も死んでないのに本当に辛いです。

しかも、ブログがもう重くて重くて
感想を記事として投稿してもエラーになってしまって
何だかもう途中から涙目になってました。




────




木の葉を隠すなら森に……とは、よく言われる話です。
似た物に交じってしまえば、敵には見つからなくなる。

では、森の中にある木の葉を消滅させる為には、
一体どうすればいいでしょうか。

今回の「ぼくらの」宇白順4は、この問いと答えが主です。
決して正解ではないだろうけれど、
48時間以内という限られた時の中でできる事といえば、これしかない。
──頭が切れるのが不幸だとコエムシに言われた通り、
皆が悩む中、それを実行しなければならない当のウシロが
まず最初に答えに気付きます。

森にある木の葉を消滅させるには、森全体を消滅させれば良いと。





今回は、前回の続きであるアウェーでの戦闘から始まりました。
あまり手応えがないものの、懸命に頑張るウシロ。
本当は戦う事が嫌で嫌で仕方がないはずなのに、
敵の地球の人々の為にも早く終わらせようと、とにかく必死です。

そして、怖いぐらいに呆気無く
ジアースは敵のコアを手中におさめることができました。
正直、これまでの“ぬいぐるみ”の戦闘が呆気無かったので、
最後の一人であるウシロの時はねちっこくやるのかなぁと
想像していたことから、本当に意外でした。
「え? 終わり?」と思いました。

でも、アフロなコエムシ(本当に毛なのかは不明ですが)が登場し、
イミシンな事を不穏な感じで言ってから、
何か起きるぞという、
うなじの辺りがチリチリするような感覚に襲われました。
なので、敵パイロットの女性(気持ち悪かった)の口が
ニヤッと笑った時は、ゾッとしました!!!!!!!

──が、今になって思えば、
この時の「ゾッ」なんて
全然大したことがありませんでした……。



コエムシが止めたのに迂闊な行動を取ったウシロのせいで、
敵のパイロットに逃げられてしまうという失態が起きます。
人の命が見えるものの、こうたくさんあっては
さすがのウシロにもパイロットの居場所は分かりません。

そして彼は一つの方法を答えとして口にします。




「この世界の人間を、全て殺せばいいんです。」




ここを読んだ瞬間、ヒッと私の喉が鳴りました。
今まで「ぼくらの」では散々泣かされてきて、
寧ろ泣かされてない回なんて無いんですけど、
今回の涙はちょっと違いました。
なんていうか……ウシロ自身が可哀相だとか
彼に直接同情するような感情ではなかったです。
この“ぼくらの”の世界は本当に無情なんだと知って、
あまりの辛さに絶望してしまった感じでした。
「あぁ、なんという世界だろう」と思いながら、泣きました。

そりゃ、かつてのウシロは
他の子に対して無体な態度を取ったことがありますが
こんな業を背負わされるような罪は犯してないと思います。
いくら、人生があと二日もないからといって
まだ少年と青年の間にいるような幼い子に
こんな重い事を決断させるのか……鬼頭先生……。

ウシロは、順番が回ってきた他のパイロットの時は
冷静で達観しているような言動をしていたものの
自分が戦わなくてはいけない局面になって初めてその怖さを知って、
それでも、「人々は地球ごと一瞬で消えるんだから」と
自分自身に必死に言い聞かせて、
やっとコアを握るところまで来たのに
──次は、ジアースを使って人々の殲滅をしなきゃいけないとは……。

マチとの一件以来、
コエムシがウシロに対して味方になっていて、
「なるべく早く、相手のパイロットを殺せることを祈っててやる」なんて
有難い(というのも変ですが)言葉も聞けましたが
もうもうもうもう、とにかく辛いです。

ウシロは“ぼくらの”の中でも特別な一人だったし、
例外的な立場だったマチと最後に二人で残るのも当然で、
彼には良くも悪くも
特別な戦闘が鬼頭先生から与えられるもんだと思ってましたが……
これじゃ、良くも悪くもじゃないです。
「悪く」しかないです。

ウシロ……これを実行するとして、
パイロットを殺せるまでに彼の精神が持つのかな。
これなら、ウシロ達の地球が消滅しちゃう
(規定時間までに敵パイロットを殺せずに、引き分けでゲームオーバー)
滅亡エンドになっても、全然おかしくないと思います。
つか、ササミン達が以前から言ってますが、
たとえウシロがそれを選んでも、この地球の人達は文句を言えません。
言っちゃいけない。



あの気味の悪い敵パイロットの狙いは、
ウシロ曰く「勝つ事でも引き分けにする事でもない」上に、
そのすぐ後にウシロ自身が敵パイロットを殺す方法を挙げている事から、
自分が死ぬ(敵側の地球が滅亡する)までに、
一人でも多くの人民をウシロに殺させる事──かなぁと思いました。
あのパイロットは、いかにも精神を病んでいそうでした。
パイロットに選ばれたからああなってしまったのか、
それとも、選ばれる前からああだったのかは分かりませんが、
彼女が「勝っても負けても自分は死ぬ」という運命に対して激しく絶望し、
その中で、いかに自分が満足して死んでいけるかを考えた結果、
あのような、
“逃走→自分を殺させるついでに他の人々も道連れ”という策を
わざわざ取ったのかと想像しました。

精神状態が普通なら、皆の衣裳を作ったナカマや
他の多くの子供達のように、
それまでの日常を心穏やかに過ごすという建設的な考えに
辿り着くはずです。
あ、でも、自分をレイプした男を殺したチヅや、
そんなチヅをレイプしようとしたアニメ版のカコは
間違った方向に考えが進んでしまったので
“追い詰められた”のが悪い結果に繋がった事になりますが。

もし、仮に敵のパイロットの目的がこう↑だとして、
ウシロが実行したら、彼女の狙い通りになってしまいます。
これも悔しいです。
ウシロにそんな事をさせたくない
……結果的に相手の地球の人々全員を殺すのだとしても、
ウシロには心の痛みをあまり負わずに逝ってもらいたかったのに……。
これじゃ、最期の瞬間までウシロは辛いじゃないですか。
必然的にこうなったのならまだしも、
敵のパイロットを逃がしたのは、他の誰でもない
ウシロ自身ですしね。
彼が決着をつけなければなりません。



アフロのコエムシが「あぁ、あなたでしたか」と言ったのは、
あの言葉そのものには意味が無くて、
単にウシロの関心を煽る為の嘘なんでしょうか。
いかにも、アフロコエムシはウシロを見知っているような感じでした。
で、ウシロは、
誰か自分を知る者がその中にいるかもしれないとの
(地球が違うので、本人そのものではないけれど)
興味を捨て切れなくて
ついコアを破ってしまった──との流れで良いのかな。
今回、上記の女性パイロットの件もそうですが
意味深長な感じで描かれているだけで、
その補足が全くないので、正しいところが分かりません。



なんか、もう、
次から次へとよくこんな辛い話を思い付くものだと、
鬼頭先生には感服します。
毎回、これ以上辛い話は無いと思ってしまうのに、
それを上回る悲劇がやってくるんだもんなぁ……。
辛いです。

今は、来月号の発売日を迎えたくない気分です。





────
感想は以上です。
お読み下さり、ありがとうございました。

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続きの2009年5月号の感想も書きました。
http://himezakura.blog.so-net.ne.jp/2009-03-25

宜しければ、合わせてどうぞ。


2009-02-27 02:00  nice!(0)  コメント(0) 
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