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感想:藤田貴美「EXIT」第10〜11巻*ネタバレあり [アニメ・ゲーム・漫画・小説]

幻冬社から発売されました藤田貴美先生の漫画
「EXIT」10・11巻の感想です。
ネタバレがあります。
00.jpg
表紙に祐天寺さんが来るとは!
ユズル君だって表紙を飾っているので、あって当然なのですが、
意外でした。

私は単行本派で、しかも10・11巻が発売されているのを
全く知らなかったので、
9巻の発売から4年近く待つ羽目になってしまいました(笑)。


ここで藤田貴美先生について語るのは初めてなので
まずはそのファン歴から。

私はバリバリの花ゆめいとで、
藤田貴美先生に対しては
デビューのきっかけとなった受賞作からのファンです。
単行本はとりあえずリアルタイムで買ってきましたし、
当然、ふらふらと発売元を替えているEXITも追いかけてきました。
現在はネット上でのWeb連載だそうで、
こうして単行本派になってますが
早く続きを読みたくてたまらない気持ちは今でも変わらないです。

で、ネットサーフをしていたら、たまたま
「VANCAが武道館」という文字にぶち当たりまして、
「えええ?」と驚くと同時に、
11巻が今年の春に発売されていた事態に対して、
己の目を疑いました。
近所の本屋ではまず見つけられそうにないので
大慌てでネット通販を頼んだものの……そこで、
「あの音の洪水(9巻)から、いきなり武道館って急展開だなぁ」と
思ったんですよ。
で、改めて、自分が持っている一番古い単行本の巻数を見てみたら、
9巻で、間の10巻の刊行も知らなかったと判明。
半泣きで、この10巻も追加注文したというわけです。

四年近くも待ったお陰で、二巻一気に読めたのは幸せでした。
そして、武道館というのは、この先の話だったんですね……。
それでも、作中で「渋公」公演をしているのに驚きましたが。
(現在の「CCレモンホール」です。
私には渋谷公会堂の方がぴんときますが)

私も、上がったとはいえ元バンギャなので、
上り調子のバンドだけが放てる勢いは、
身を持ってよく知っています。
今回の渋公決定〜前売ソールドアウト〜公演大成功の流れでは
懐かしささえ覚えてしまいました。

新作について勝手な文句を言ったり
「変わった。前の方が良かった」というファンの嘆きにも
覚えがあります(笑)。
伊集くんが感じたらしい嫉妬?みたいな感情もよく分かります。


その伊集くん。
以前は、頑張っている(そして少しずつ結果を出している)VANCAと
向き合えない、わざと逃げている感がありましたが
祐天寺さんの所を中心にフリーライターとして頑張るようになって、
きちんと顔を上げて皆と会えるようになったのが
良かったです。

雪ちゃんは……昔のCDの出し直しとか
読んでてせつないエピソードもありましたが、
彼女の前向きさがよく表われていて
特に11巻での話での彼女からは
(凡ちゃんとのデートとか、後半に出てくるスタジオでのトラブルとか)
記者会見に臨む直前の彼女と同じ、
凛とした強さも感じられました。
あの記者会見……雪ちゃんは泣かなかったんですね。
さすがだ。

復帰の件は、森永さんが仕組んだらしいこととはいえ、
相当な強さと、唄いたいという意思が無いと駄目だったと思うので
前向きに、積極的に「復帰しよう」と頑張る雪ちゃんには
脱帽します。
苦しくて、精神的にも辛いかもしれないけれど、
前よりはずっと良いと分かっている分、
彼女ならその苦労でさえもきちんと糧にして、
その先で味わえる幸せに繋げることができると思います。
凡ちゃんとのデートでは、
素の雪ちゃんも見られて嬉しかったです!
卓哉とひなこちゃんといい、この二人といい、
素敵なカップルだと思います。


そしてESK。
もうバンドとして駄目なんだろうな〜というのは
以前の巻からもよーくよーく伝わってきましたが、
一縷の望みとしてあったレコーディングが終わってしまった今、
もう逃げ場が無いというか
いよいよ崩壊する直前まで来てるのが分かって辛いです。
でも、歌えない現状が辛いくせに酒に逃げてるニーナには
同情しません。
渡瀬が、「酒くせえし」ってぼそっと呟くシーンがありましたが、
かつてファンだった彼でも呆れてしまうほど
ニーナはもうぼろぼろなんですね……。
10巻でも11巻でも、
新婦のレコーディングにツアー用のリハーサルにと、
順調なVANCAと不穏なESKの描写が対比されて出てくるので
せつなかったです。

森永さんが、「堪忍袋の緒が切れる」一歩手前なのが怖いです。
作中でも麻井社長に脅し(笑)や愚痴を吐いてますが、
この人、もう駄目だと思ったら
スパッとESKを切りそうですよね。
どうやら、地道ながらも及第点を出し続けているVANCAは
森永さんからも(今は)認められているので、
この先暫くは大丈夫そうですが、
ESKは本当にどうなるんだろう……。
作中で、10巻で森永さんが社長に言ってた
「おもしろいこと」って
雪ちゃんの復帰だと思うんですが
それに飽きた時に(笑)他に面白い事がなければ
ESKの進退を口にするんじゃないかなと思えてならないです。


それにしても、ライヴだと平気なのに
普段は口下手で、でも攻撃的な卓哉が取材で頑張っている姿は
非常に痛々しいです。
でも、言ってもいないことを書かれたり、変に直されていたり
つまらない質問(しかも、そういうのに限って同じ内容)を
多くの人から浴びせられるのは、
作中でも呆れたように描かれていますが、
もう仕方のないことですよね。
本当は、これではいけないと皆が思っているのだけれど
誰も直さない、直せないことなので。
11巻の最後で、キレた卓哉が司会の女性に当たってしまい、
つい冷たい言葉を吐いてしまいましたが、
気持ちはよく分かります……。
これまで我慢してきたからこそ、不意に出ちゃったんでしょう。


バンドが売れ始めた事で
VANCAを取り巻く周囲(世間を含む)が変わってきたのも勿論ですが、
卓哉と凡ちゃんの間に漂う違和感も危なっかしさを覚えられます。
嘘を言ってるわけじゃない。
本当の気持ちを言ってるはずなのに、もやもやしている
……というのは、その理由が見える読者(私)には
もどかしい限りです。
でも、“理想”のように
いつまでも仲良しこよしな友達バンドではいられないんですよね。

現実では、解散するバンドが本当に多いので
せめてVANCAは、苦しいでしょうけれど
最後まで四人で頑張ってほしいと思います。




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2008-08-02 15:48  nice!(1)  コメント(0) 

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