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感想:漫画「おおきく振りかぶって」第3巻*ネタバレあり [おおきく振りかぶって]

講談社アフタヌーンで連載中の漫画
「おおきく振りかぶって(ひぐちアサ著)第3巻」の感想です。

内容が、先の巻や、
単行本にまだ収録されていない話に及ぶ場合があります。
また、当然ながらネタバレがあります。
(これを書いている現在は、七巻まで出ています。
また、私は本誌を購読しているので、その先を読んでいます)

本誌アフタヌーンの感想はこちら↓
http://blog.so-net.ne.jp/himezakura/archive/c338259

────

三巻は、本編が四分の三、
残りの四分の一がおまけとなっています。
また、第一巻は三橋、第二巻は阿部……と表紙は一人ずつでしたが、
この巻(田島と花井)から複数でも出るようになります。

まずは本編の感想から。
ここの見どころは、何といっても阿部の過去話です。
第二巻で、阿部が「最低の投手」と評した榛名との話が、
阿部の視点によって紡がれています。

ここで思い違いをしてはいけないのは、
そう、これが阿部の目から見た話であることです。
一つの真実を語るにも、違う人間が見たのでは印象も異なります。
全く別の話になるのも、充分にあり得ることです。

三橋の感想である
「プロになってからじゃなくて、
阿部君と今やってる野球を、
大事にしてほしかったんだよね」との言葉は
まさに阿部の気持ちを代弁しているかと思いますが、
どうしても譲れない物を持っている榛名に
この言葉の力は効きません。
もし、榛名がこれを阿部や三橋から直に聞かされたとしても、
「うるさい」と一蹴されて終わるでしょう。
そんな事を、正義面して言ってくる人間は、
彼にとって余計な存在でしょうから。
(だからこそ、おまけの「基本のキホン!」で語られる
カグヤン先輩や大河先輩たちとは、
普通に仲良くできているんだと思います。
↑彼らは、そうする榛名を全面的に認めているっぽいので。
尤も、大河先輩は最初に抗議してますが/笑)

■まずは、前回の続きとなるスタンドでの観戦。
先の巻で語られる
夏季県大会の初戦の相手・桐青高校の三人が初登場です。
下からの持ち上がりのせいか、
利央に遠慮が無いのがかわいいです。
呑気そうに見ているけれど、
和さんの発言が真髄をついてるのが興味深いです。
(榛名の速球を捕れる捕手がいないから、明日も放らない云々)
また、春日部の面々も出てきます。
芝先輩が渋いですv
双子は生意気そうだ。

ニシウラーゼを語る上で外せないプロテイン話も、
ここで出てきます。
巣山といい、田島といい、本当に良いキャラですね!
特に田島は、キャラクターとして彼を語る上では外せない
“ゲンミツ”の勘違いがここで出てきます。
阿部も、まさか自分が田島の勘違いのきっかけになるとは
思っていなかったでしょう。

この観戦時の三橋は、かわいく描かれているので好きです。
特に丁寧に描かれているわけではないようなのですが、
立ち振るまいとか、顔が、なんかかわいいんですよ。
また、全力投球をした榛名を目の当たりにして絶望して泣き、
阿部に気持ちを寄せて泣き……と、
今回だけでも表情がころころと変わりますが、
泣き止んだ描写も含めて、好きです。
特に前者は、
「そこだけもらって、それはずっと大事にしよう」だなんて、
かなり前向きな気持ちになってますよね。
その後の田島の
「そしたらオレが打つからさ。“ゲンミツ”にさ!」も
頼れる感じで良いです。
三橋が内心でツッコミを入れてるのもかわいい。
グルグルしてる時の三橋もー!

阿部の
「マウンドでは……そうねェ、無表情もいいけど……
やっぱ笑顔がいいね」は
やはり良いと思います。
ここはかなり重要な点だと思うのですが、
よくありがちな大きなコマにせず、
さらっと流すように描かれているので
余計に印象に残ります。
また、阿部が目を細めてニッと笑う描写がこれまで全く無かったのも、
効果として出ていると思います。
(いつもはニヤッとか、策士っぽい笑みばかりですから……)
手で頬を引っ張って、懸命に(真面目に)真似をする三橋も
とても愛らしいです。

ここでも、栄口くんのいい人っぷりが出ていますね。
本当は聞いてたのに
聞かなかった振りを続けてる他の面々もいい人だ。

■阿部の過去について。
何に対して重きを置くかで、人の優先順位が違うのは、
別に野球に限ったことじゃありません。
気持ちの温度差を相手に感じて不快になることなんて、
多少の差はあれ、誰にでもよくあることです。

でも、二人にとって野球が何よりも大事だったことと、
二人がまだ子供だったことで、
あそこまですれ違ってしまったのかなーと思いました。

また、榛名が過去のことを気にしてないらしいのも
阿部の癪に触る原因だと思います。
榛名が悪いことをしたのではないので
(でも阿部には許せない/信じられないこと)
彼が気にしてないのは当然なのですが。

阿部は、榛名の気持ちはちゃんと分かってるんですよね。
栄口たちに説明してますから。
でも、分かるのと納得できるのは違うので、
阿部も苦しい思いをしてきたんだなーと思います。
というか、される側として考えてみれば、
阿部でなくても嫌ですって。あんなの。

多分、思い出すのでさえ嫌でしょうし、
口に出して説明するのなんかもっと嫌だったでしょうから、
あそこで三橋に泣かれたのは、
予期せぬ気分転換になったのかもしれません。
実際、三橋が泣いてからの阿部は、
嫌な思いも忘れて驚いてますよね。
続けて、上記でも挙げた“笑顔”になるのは、
読者としてもホッとできるシーンです。
阿部の過去の話は重たいので、読んでて緊張するので。

■球場から帰ってきてからの、日常話。
珍しく「ムキャーッ!」と怒ってるモモカンがかわいいです。
ここはキツく言わないと駄目だと思ったのか、
三橋に対して遠慮が無いですね。
それでも必死に頑張る三橋がかわいいです。
「ねばるね、お前」の花井も。

そして、面倒見のいい田島の性格がよく出ている
「“1番”はお前のだからよ! いつもしょっとけ!」。
ここは名シーンですよね。
栄口くんもとても世話好きですが、
田島のそれは、もう少し目線が低いというか、
幼い感じがします。
でも、優劣はなくて、どっちも良い感じです!
呆然としてるニシウラーゼも、彼ららしくて好きです。

地味ですが、投手を任されそうになって
自分を変えざるを得ない状況を受け入れようとしてる沖くんが
見物です。
彼は、桐青戦の最後で
自分と三橋を比べるようなことを思うのですが
冷静に自分の力を知った上で、現状を見るのって、
分かっててもあまりできないことなので、なにげに凄いと思います。

他人を乗せやすいモモカンに、乗りやすい田島も良いですね!
早く、花井と田島のバッテリーとか、
三橋と田島のバッテリーを見たいです。

そして、また名シーンが!

「阿部君が捕ってくれなかったら、オレは──……
……また、役に立たない、投手……に、なっちゃう……」
「オレが受けりゃあ、お前、“いい投手”になんのか」
「──うん」
「ならオレ、3年間ケガしねェよ。病気もしねェ!
お前の投げる試合は全部キャッチャーやる!」

現時点でのアフタヌーンでは、
この会話が裏目に出るような関係になってますが、
やっぱりいいなーと思います。
こう言われた時の三橋が、本当に嬉しそうでたまりません。

最後の主将決めは、
その直前に、世話を焼く花井の描写を出してから
あのように皆に推薦させるのは、上手いと思いました。
実例を先に出せば、読者も自然に「なるほど」と同意できますから。
あと、この場にいる全員一致というのも良いです。
副主将に栄口が選ばれて、本気で喜んでいるらしい三橋が
とてもかわいいです。
(ここに限らず、プロテイン配付のあたりから、
皆の後方でチラチラと出ている三橋は凄くかわいいです。
花井に「かつぐなっ」と怒鳴られて半泣きになり、
栄口に慰められているのもかわいい。
プロテインにむせてるのも/笑)

そして、最後の1Pでいよいよ“にしうらーぜ”の言葉が!
皆、気合いが入ってたり笑顔だったりして、
いい顔してます!
カラーでポスターにもなってる円陣絵も好きですが、
こちらの円陣も大好きです!

■おまけについて。
ひぐち先生がサイン会で配られたコピー本が
再録されています。
私も持ってなかったので、見られて良かったです。
ネットで見た情報だと、
間違えた部分が修正液で一つずつ丁寧に直されていたとか。
チンコの細かい設定が早く出てこないかなーと
のんびりと待ってます(笑)。
春日部の双子・葵の漢字が間違っているのは
まぁご愛嬌で。
田島が水をかけてる合宿時の絵がほのぼのしてていいなー。
ちよちゃんがびっくりするモモカンのブラジャーのサイズは
一体いくつだったのかと……。
GカップとかHカップなんでしょうか。重そうです。
肩凝りと戦ってそうですね。

■読みきり「基本のキホン!」
おお振りの連載前に、アフタヌーンに掲載されたものです。
ヤフオクで高価取り引きされていたので、
こうして読めて本当に嬉しいです!

絵の感じ(特に目)が違いますね。
私は今(おお振り)の方が好きです。

唐突に女子の裸が出てきたり、
キャラがむきになったように専門的なことを吐いたりと、
迷走しているような印象を受けます。
でも、この単行本を読む時は、
阿部が語る過去話が先になると思うので、
それよりも柔らかく語られる榛名の話を後に読めるのは、
彼にとって良かったんじゃないかと思いました。
(読む順番で、受ける印象が変わってくる)

話そのものについて考えてみると、失礼ながら、
おお振りと比べてしまうと、それほど面白いものではありません。
でも、おお振りのサイドストーリーとして読めば、
とても価値のあるものです。
現時点で、カグヤン先輩の最後の夏となる今大会の結果は
まだ出ていないのですけれど、
彼ならば、きっと悔いのないように頑張っていると思います。

榛名は……悔いとか感じる前に、マウンドを降りますからね。
それこそ、西浦と対戦した時にむきになって、
「球数を忘れてた」とか言ってくれたら最高です。

でも、この最後の最終ページは好きです。
球場でナマで野球を見た時を、何故か思い出します。


2007-04-03 20:57  nice!(0)  コメント(0) 
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